自己認識力を高める効果的な方法

スタートアップの経営者やチームメンバーが、高める必要がある能力とは何か?田所雅之(たどころ・まさゆき)
株式会社ユニコーンファーム 代表取締役社長
1978年生まれ。大学を卒業後、外資系のコンサルティングファームに入社し、経営戦略コンサルティングなどに従事。独立後は、日本で企業向け研修会社と経営コンサルティング会社、エドテック(教育技術)のスタートアップの3社、米国でECプラットフォームのスタートアップを起業し、シリコンバレーで活動する。日本に帰国後、米国シリコンバレーのベンチャーキャピタルのベンチャーパートナーを務めた。日本とシリコンバレーのスタートアップ数社の戦略アドバイザーやボードメンバーを務めながら、ウェブマーケティング会社ベーシックのCSOも務める。2017年、スタートアップの支援会社ユニコーンファームを設立、代表取締役社長に就任。著書に『起業の科学』(日経BP)、『御社の新規 事業はなぜ失敗するのか?』(光文社新書)、『起業大全』(ダイヤモンド社)がある。

 自己認識力を高める一つの方法を紹介しよう。

 1.これまでの自分の人生を4分割して紙芝居を作成する。自分の人生に影響を与えた経験、体験、転機等をイラストで表現する。

「あなたの現在の人間としての自分を形作ったものは何ですか?」
 「自分の人生のターニングポイントで、やる気と刺激を受けた決定的瞬間や影響要因は何か?」

 2.その上で、3年後、あなた自身のありたい姿、実現したいこと、ビジョンを裏面に書く。

 3.あなた自身がしたいこと(WANT)、できること(CAN)、社会から必要とされていること(NEEDED)を書き出す。

 CAN、WANT、NEEDEDの円の交差するところを書き出してみる。その交差するポイントを実現するために何が課題かを書き出してみる。

 自分たちのチーム内でグループワークを行い共有してほしい。一人5分の時間を与え、先に述べた3つについて話し合っていく。各自が話すことで、自分のこと、相手のことを知る良い契機になる(相手のことを把握しておくことは、関係性を深めることに一役買う)。

 自分がどんな人間で何をしたいのか。そこがはっきりしてはじめて自己実現(事業の構築)に向けたスタートラインに立つことができる。

 スタートアップにとって数少ない競合優位性の一つは経営者自身やメンバーのストーリーであり、そのストーリーを自己マスタリーを通じて明確にして、仲間を集めたり、資金を集めたりすることができるのだ。

 だからこそ、ビジョンを共有できるメンバーを集めて創業チームを作るべきだが、そのためにも、自己マスタリーは明確にしておく必要がある。