「誰が何をいつまでにやるか」を明確にする
2つ目に、自分を主語にするのと同じくらい大事なのが、「誰が何をいつまでにやるかを明確にする」ということです。
たとえば、オフィスの掃除をチームで分担してやるとしましょう。
そのときに、次のようなルール設定をしていないでしょうか。
「オフィスはキレイにすべきだ。気づいた人が率先して掃除するようにしましょう」
このように、標語のようなルールでは、誰も掃除をやりません。
メンバーを混乱させるダメなルールの典型です。
たとえ、一部の人が掃除をしたとしても、「自分ばかりがやっていて損だ」と不公平感を覚えるようになります。曖昧なルールだと、やる人とやらない人のムラが生まれ、チームはぐちゃぐちゃになるのです。正しくは、
「月曜日はAさんがフロア内の掃除をしてください。16時までに終わらせるように」
このように、言語化することで、メンバーのすべきことが明確になります。
Aさんにとっては、月曜以外は掃除のことを考える必要がなくなり、自分の仕事に専念できます。他の人にとっては、月曜日の掃除はAさんに任せることができ、自分の仕事に集中できます。
こうして見えないストレスをなくしていき、ルールどおりにできていないときに指摘する。それがリーダーの役割です。
だからこそ、ルールは事前に決めておくべきなのです。
ルールがないと、みんなが見えないルールを探り合って疑心暗鬼になり、人間関係がギスギスしはじめます。
「なんで、みんなやってくれないの?」
「誰かもっと手伝ってほしい」
そのような声が出る会社は、危険な状態です。ルールがなく、個々の裁量に任せてしまうと、仕事の優先順位に対する認識の違いが生まれるのです。
しかし、ルールを設定することで、「きれいなオフィスのほうがいい」という共通の利益に全員の意識を向かせることができます。ルールで決まっていれば、手伝う手伝わないの問題は発生せず、「やると決まった人がやってください」と一言だけ指摘すれば済みます。
ルールのある組織に「気遣いでやる仕事」という概念はありません。
「Aさんには、もっと気遣いしてほしい」といった感情の摩擦は起こりえないのです。
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモ、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)を経て、ジェイコム株式会社にて取締役営業副本部長を歴任。
2013年、「識学」という考え方に出会い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。
2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。
人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヵ月でマザーズ上場を果たす。2020年10月現在、約1900社の導入実績がある。
主な著書に『リーダーの仮面』(ダイヤモンド社)などがある。