したがって、ガースナーや村井氏のようにトップの立場であればよいが(それでも大変だろうが)、組織の中に普通に入ってしまうと、空気の読めないやつとして排斥されてしまうかもしれない。経営理念や行動規範の支えと周りの管理者の意識改革がセットで行われることが必要だろう。
5については、リスク感知能力と政治力などが必要になる。普通の会社員として獲得できる能力ではなさそうだが、ベンチャー企業で活躍するためには不可欠である。
6については、その人が本当に才能があると思えば、その人に賭けるしかない。普通の組織の一員としては、うまくやっていけない。有力者が庇護(ひご)しながら、活用する方法を探ることになるだろう。
と、ここまで書いてみると、本当の天才でなくとも、天才に見えるような仕事をする可能性のある人も、やはり同質性を重視する一般の組織においては、生存しづらいということが分かる。これらの天才予備軍の人たちの技能を生かすためには、「別枠扱い」+「組織との接続のための調整者の活動」や「有力者による支援」が必須になるだろう。幸いジョブ型の概念とは相性が良い。せっかくジョブ型を定着させようというのなら、今後は、「天才」製造&活用装置として必要な組織の機能についても、併せて考えていきたい。
(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)