パナソニック創業者
松下幸之助のひ孫に学ぶ

私は驚かされました。

他の大企業のブースでは、用意された資料をもとに説明会が進行していくのに、そのベンチャー企業のブースでは資料すらないのです。

話をする社長と話を聴く学生の姿だけ。

社長は自分のやりたいことや会社の未来など、学生たちの目を見ながら熱く語っていました。

帰ろうとして会場出口に向かっていた私でしたが、結局、その社長の話を最後まで聴きました。

「僕が今話したことに共感できる人は、ぜひ選考を受けに来て欲しい」

そう締めくくった社長の姿を見て、感動しました。

自分の夢を語る社長の目は生き生きとしており、「この人、かっこいいな」と思ったのを、10年以上経った今でも覚えています。

大学を卒業したら、大企業に入って、毎日電車通勤して、いずれダサい大人になっていく。

そんなイメージしかなかった社会人にも、こんなにかっこよく生きている人がいることに驚きました。

そこから、私の就職活動は一気に変わりました。

同じ大学の友人たちが大企業からの入社内定をもらう中、私は一緒に働きたいと思えるかっこいい社長がいるベンチャー企業を見て回るようになったのです。

ときには新卒を募集していない会社も調べて、ホームページに載っている連絡先を頼りに会社訪問したこともあります。

埼玉県にある社員20人ほどの小さなベンチャー企業を訪問したときは、いきなり社長と副社長が対応してくれて、会社の展望などを1時間以上語ってくれました。

いま思うと、大学生1人のために、社長と副社長が1時間以上も時間を割いてくれたことに、もう本当に感謝しかありません。