これは国の施策であって、国の判断で東京都が後から加わるという事態になったわけだ。Go Toトラベル事業の意味はあると思うが、この状況で国が新たな判断を下しているということだと思う(11月22日、総合防災訓練時のぶら下がり会見で)

「機を見るに敏」とは、政治家にとってむしろ必須の要素であり、とがめ立てられるべきものでは全くない。そこに十分な説明責任が伴う限りは。

 11月に入ると、都内だけでなく全国で1日当たりのコロナ新規感染者数が増加。感染拡大の“第3波”が急速に意識され始めた。当然、Go Toトラベルを継続するという政府の対応について批判が強まり始めた。

 すると、小池知事の動きは速い。上記のように、国の政策なのだから国でどうにかすべきという言葉を放った。

 その反面、北海道や大阪府のように、東京をキャンペーンの対象から除外するよう国にはっきりと求めるでもなかった。それでいながら、11月25日には都独自に行っていた補助の停止を発表。この矛盾した姿勢を記者会見で問われ「都は、都における命を守るという、その行為について責任を負っているわけでありますので、そういう判断(都独自の補助上乗せの停止)をしたということでございます」と煙に巻いた。

 ただその後もコロナ感染者の増加は止まらず、国と都で責任を押し付け合う構図に双方への批判が高まる。小池知事は12月1日、菅首相と会談し、都内発着の旅行について、65歳以上の高齢者と、基礎疾患を持つ人にGo Toトラベルの利用自粛を求めるという、実に曖昧な内容で合意した。

 この際に小池知事は菅首相に対し、全国規模でのGo Toトラベルの停止を求めたとされる。それに対して菅首相はすぐには結論を出さなかった。そして12月14日、ようやく全国規模での一時停止を決定したわけだ。この結果だけを見れば、小池知事の要望を菅首相が受け入れたようにも見える。煮え湯を飲まされた菅首相に、一矢報いたと。

 そしてその日の夜、冒頭のように「かねてから申し上げておりますけれども」で始まる小池知事の記者会見が行われたわけだが、Go Toトラベルを巡る小池知事の一連の言動をあらためて振り返ると、

 7~8月…Go Toトラベルを厳しく批判

 9~10月…経済効果に期待を示し、都独自の補助上乗せも決定

 11月…都のGo Toトラベル対象除外を自ら言い出さず、あくまで判断を国に求める

 ~全国で新規感染者数が増加~

 12月…国に全国規模での停止を求める

 と、まとめることができる。

 都内が10月からキャンペーンの対象になると決まれば、観光業界に弾みがつくと「申し上げてきた」。

 感染者数の増加が止まらず、Go Toトラベルへの批判が高まると、中途半端な感染予防対策では不十分だと「申し上げてきた」。

 機を見るには敏だが、これらの“方針転換”をつなぐ説明は一切ない。そんな小池知事の姿勢が如実に表れたのが、この記者会見の直後に意気軒高な面持ちで生出演したTBS系の報道番組「news23」でのやり取りだった。一部を要約して抜粋しよう。