LCC専用の成田空港第三ターミナル乗降客の激減は、空港民営化の動きにも水を差す可能性が出てきた(写真はLCC専用の成田空港第三ターミナル、撮影:東京商工リサーチ)

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、愛知県中部国際空港を拠点とする格安航空会社(LCC)のエアアジア・ジャパンが11月に経営破綻した。さらに今後懸念されるのが民営化されたばかりの空港運営会社の業績悪化だ。危機が深刻化する航空業界の状況について、東京商工リサーチが解説する。(東京商工リサーチ情報部 増田和史)

日本に再進出した
エアアジア・ジャパンが倒産

 11月17日、格安航空会社(LCC)のエアアジア・ジャパン(株)(常滑市)が負債217億円を抱えて東京地裁に破産を申請。新型コロナ関連の倒産では初の航空会社、負債規模も2番目となる大型倒産となった。

 LCCは低コスト、効率経営で成長してきたが、資金力に乏しい企業も多く、世界的に見れば経営破綻は珍しくない。だが、インバウンド需要などに支えられ、好調を謳歌(おうか)していたコロナ前との落差はあまりに大きく、新型コロナが直撃した航空業界の疲弊をまざまざと見せつけられた象徴的な倒産となった。

 エアアジア・ジャパンは、2011年に全日本空輸(現:ANAホールディングス)とマレーシアを拠点とするエアアジアとの共同出資で設立された(以下、旧エアアジアJ)。