新型コロナウイルスの感染拡大は、実体経済に大きな傷を負わせている。倒産リスクが高まる中、短期的な資金繰りの圧迫度などで企業の信用リスクを分析する倒産危険度(Zスコア)で、上場企業3784社を総点検し、危険水域と判断されたリスクの高い473社をあぶり出した。特集『大失業時代の倒産危険度ランキング』(全29回)の#1では、まずワースト100を紹介する。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
コロナ禍が業績悪化に追い打ち
売り上げ急減したトップのフレンドリー
資金繰りに行き詰まれば当然、企業は倒産する。だが、その命運を握る金融機関からの評価を、外部の第三者が推し量ることは難しい。
企業が倒産するリスクを予測する助けとなるのが、企業の公開情報から算出した「倒産危険度(Zスコア)」だ。米国の経済学者、エドワード・アルトマン氏が1968年に考案したもので、短期的な資金繰り圧迫度、資産効率、利益の蓄積など後述の計算式にある五つの指標の合計値により算出される。
合計値が低いほど、倒産リスクが高まり、1.81未満になると危険水域になる。1.81~2.99も倒産の懸念を否定できない。逆に2.99を上回れば、倒産の可能性はほとんどないといえる。日本経済をコロナ危機が直撃したことを受け、上場企業3784社の倒産危険度を緊急点検したところ、473社が危険水域と判断された。今回はまず、上位100社の顔触れを見ていく。
今年のランキングには、やはりコロナ危機が大きな影を落としている。ワースト1位のフレンドリーもその一社だ。
フレンドリーはファミリーレストランや居酒屋を展開してきたが、もともと赤字続きで業績が低迷していた。2019年10月の消費税率引き上げで客単価の高い居酒屋の売り上げが減少していたところに、新型コロナウイルス感染拡大による客数減、休業が追い打ちをかけ、売り上げが急速に落ち込んだ。
窮地に陥ったフレンドリーは6月4日に採算の良いうどん店「香の川製麺」以外の店舗閉鎖を決定した。総店舗数70店舗のうち、実に41店舗を閉鎖する。店舗の減損などで20年3月期の純損失は26億0300万円と、前期の6倍近くに膨らんだ。
店舗閉鎖に合わせる形で、6月末までの期限で従業員の5分の4に当たる110人の希望退職者を募集した。希望退職者に対しては、親会社であるジョイフルへの再就職もあっせんする。これによる損失は21年3月期に計上されることになる。まさに、典型的な「コロナ転落」といえる。
100位までの会社を見ていくと、コロナ危機で急速に転がり落ちていった企業がずらりと並ぶ。では、実際にランキングを公開しよう。