12月12日に開催された、発売7周年記念の『嫌われる勇気オンラインフェス』(嫌フェス)。5時間超にわたって配信されたイベント内から、各企画のダイジェスト版をお送りします。
企画「『嫌われる勇気』7年の歩み」では、本書が生まれた背景からロングセラーの道のりを追っていきます。共著者の岸見一郎先生と古賀史健さん、編集担当の柿内芳文さん、ダイヤモンド社書籍編集局局長の今泉憲志、総勢4名で7年間の思い出を語り合いました。後半は、世界中で翻訳され、ベストセラーを記録している本書の展開と、読者の感想等も一部ご紹介します。(構成/田中裕子)
『嫌われる勇気』7年の歩み
ベストセラーにして、ロングセラー。『嫌われる勇気』誕生の種が蒔かれたのは、1999年冬、ジュンク堂書店池袋本店にて、共著者の古賀氏が岸見氏の著作『アドラー心理学入門』を手に取ったときと言えるだろう。アドラーの思想に衝撃を受けた古賀氏はその後関連書を読み漁り、ついに2010年3月、とある新聞の取材で岸見先生に会いに行く機会を得る。
今泉憲志(以下、今泉) 古賀さんが『アドラー心理学入門』を読んでから岸見先生に直接会われるまで、10年以上かかっているんですよね。
古賀史健(以下、古賀) その間、何人もの編集者さんに、岸見先生という方がいる、アドラー心理学の本をつくりましょうって持ちかけたんですけど、なかなか実現しなかったんです。
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最初の出会いで意気投合した二人は一緒に本をつくる約束を交わす。その後、「業界では知らない人はいない」編集者・柿内氏もアドラー心理学に魅せられてプロジェクトに合流。古賀氏と柿内氏の二人は、京都の岸見先生の自宅へ何度も通い詰め取材を進めていった。
そして2013年5月、ダイヤモンド社で書籍の企画が正式決定。当時の企画書に謳われたタイトル案は『なぜ、あなたは変わりたいのに変われないのか』。しかしタイトルはその後も転変し、なかなか決まらなかったという。
柿内芳文(以下、柿内) ほかの案は……ちょっと覚えてないないんですが、いろいろありました。
古賀 柿内さんは忘れたふりをしていますけど(笑)、ギリギリまで迷っていたのは『自己を啓発せよ』。自己啓発書って、軽く見られるところがあるじゃないですか。でもホントは、自分を啓発するのはすごく大事なことなので。……ちなみに、この案の前に柿内さんが推していたのは、『無意味な人生に意味を与えよ』という、意味がわからないタイトルですね(笑)。
岸見一郎(以下、岸見) 私がよく覚えているのは、『普通であることの勇気』という仮タイトルです。でも、いま思うとインパクトが弱いですね。
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最終的には「同年秋ごろ柿内さんに降りてきた」、現在のタイトルが採用となった。
岸見 『嫌われる勇気』というタイトルを聞いたときは、衝撃を受けました。どういうふうに受け止められるのか、期待半分、不安半分でしたね。