そして2013年12月12日、いよいよ『嫌われる勇気』は発売される。初版は8000部。6000部の初版が標準であるダイヤモンド社では決して少ない部数ではないものの、その後の大ブレイクを考えると控えめに感じられる数だ。

 初版時における強力な武器は、帯に作家 伊坂幸太郎氏の推薦コメントをいただけたことだ。

古賀 伊坂さんには何度か取材させていただいたことがありましたし、アドラー心理学の本を読んだこともあると伺っていたんですよね。ただ、あまりこうしたコメントを書かれる方ではないので、失礼かなと思いつつお手紙と一緒にお送りしたんです。最終的にコメントをいただけたのは、たしか入稿ギリギリのタイミングで……。

今泉 実はすごくギリギリだったこともあり、発行日を当初の12月5日から1週間ズラしたんです。

古賀 推薦コメントのない帯バージョンもつくっていたんですよね。でもやっぱり、伊坂さんは書店員さんからの信頼が絶大な方です。あのコメントがあったからこそ、アドラーという海のものとも山のものともわからないものを受け入れていただけたんだと思います。

 発売後は読まれた方たちのクチコミや書店の皆さんからの支持により、見る見るうちに部数を伸ばしていった。さらに海外からの翻訳オファーも相次ぎ、2015年には翻訳版が大ベストセラーになっていた韓国にプロモーションのため遠征。

著者・編集者が振り返る『嫌われる勇気』7年の歩みと海外展開韓国の書店でのサイン会の様子(2015年)

今泉 おふたりは、韓国ではアイドルのような大人気ぶりでした(笑)。書店でサイン会を開くと何百人も並ばれるんですよ。若い女性から、軍人さんまで。

 そしてついに2016年2月、国内100万部突破。同時期に韓国でも100万部を突破した。そのタイミングと合わせて続編となる『幸せになる勇気』も刊行される。初版はなんと8万部。昨今の出版業界ではなかなかない部数で、およそ2年前に発売された『嫌われる勇気』の10倍だった。

 100万部突破からわずか10ヶ月後の2016年12月、『嫌われる勇気』は150万部を達成。さらにこの年のオリコン(自己啓発)、日販・トーハン(ビジネス)、Amazon(総合)の年間ランキング1位を獲得した。

今泉 おそらく、オリコン、日販、トーハンで3冠をとった、はじめてのビジネス書ではないでしょうか。Amazon含めて完全制覇、と言える年でしたね。

 その後も部数を伸ばしつづけ、また、さまざまな媒体で取り上げられつづけた本書は2017年1月にはテレビドラマにもなり、さらに話題となった。

著者・編集者が振り返る『嫌われる勇気』7年の歩みと海外展開200万部突破を記念した特装版(左)とBOXセット(右)

 2019年10月には、ついに国内200万部突破。翌11月、200万部突破を記念して、特装版とBOXセットが発売される。

 そして2020年12月、発売7周年となるこの年に、年間ベストセラーランキング(ビジネス)史上初の7年連続トップ5入りを果たした。