写真:武田総務大臣Photo by Masato Kato

今NTTグループは再結集に向かっています。NTTがNTTドコモを完全子会社化し、そのドコモとNTTコミュニケーションズ、NTTコムウェアを融合する方向で進んでいます。NTTは世界で戦える企業体制を整え、「6G(第6世代移動通信システム)」で復権することを目指しているのです。しかし、かつての電電公社のような「大NTT」が復活するかのような動きに対しては、警戒する声もあります。武田良太総務大臣はどう考えているのでしょうか。武田大臣とNTTの澤田純社長との間で何が話されたのか、その内幕を明らかにします。(聞き手/経済アナリスト 馬渕磨理子)

>>武田良太総務大臣インタビュー(上)『NHKの受信料値下げ消極姿勢は「常識がない」、武田総務相・独占告白』から読む
>>武田良太総務大臣インタビュー(中)『武田総務相が初めて明かす、ドコモ「異次元値下げ」に至る舞台裏』から読む

ドコモ完全子会社化をどう評価するか
「大NTT復活」の議論については?

馬渕 今回の携帯電話の料金値下げは、NTT(日本電信電話)によるNTTドコモの完全子会社化がなければ、果たせなかったと思います。ドコモの完全子会社化についてどう評価していますか。

武田 NTTグループが再結集し、「6G(第6世代移動通信システム)」で復権する。世界での5Gにおける出遅れの反省を6Gで取り戻すという思いが込められていることが分かります。日本にも強い企業があってしかるべきです。日本が国際競争で勝つためには、強い企業・強い産業が必要です。これからは国際競争において、「民間」の勝負だと割り切らずに「政府」としてもしっかりとコミットしていく。

馬渕 このままでは、日本は「全戦全敗」だと。日本が世界でプレゼンスを示すために、NTTの動きが先駆けとなるのでしょうか。

写真:馬渕磨理子氏まぶち・まりこ/ 経済アナリスト 認定テクニカルアナリスト。京都大学公共政策大学院を修了後、法人の資産運用を自らトレーダーとして行う。その後、フィスコで上場企業の社長インタビュー、財務分析を行う。日本クラウドキャピタルでECFアナリストとしても活動。 Photo by M.K.

武田 これは、やってみなければ分からない。ただ、日本の企業が世界に冠たるものとして船出をしたという意味で、大いなる期待をしたいと思います。

馬渕 NTTは分割・再編の議論で何度も「解体」されかかった歴史があります。しかし今回、NTTがNTTドコモを完全子会社化。さらに、そのドコモにNTTコミュニケーションズ、NTTコムウェアを移管して融合することを検討しています。かつての電電公社のような「大NTT」が復活するかのような最近の動きについて、どのようにお考えですか。

※編集部注
NTTは近代日本の「国策」とともに歩んできた組織だ。戦前の逓信省にルーツを持ち、1952年に日本電信電話公社、1985年には公社から株式会社へ移行した。1994年にNTTドコモが分社化され、1999年に持ち株会社のNTT、NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズに再編成された。

武田 固定電話中心の時代のマーケットとは違います。公正取引委員会にしても今回の件については、法律的に見て、企業結合規制として問題になるのは考えにくいと判断をしています。NTTは体力があるから寡占だっていう理屈は、これまた違う。

ドコモ完全子会社化が矛盾だというなら
「3社寡占」にさかのぼって話をしよう

馬渕 NTTの再結集が進む現状にKDDIの高橋誠社長が、「独占回帰と公正な競争政策」は矛盾していると言っています。これに対するご意見を聞かせてください。