NTT帝国の逆襲#7
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世界の競合と伍して戦える企業体にする――。内弁慶からの脱却をもくろむNTTの澤田純社長だが、分割問題と戦ってきたNTTには市場競争には向かない独特のカルチャーが根強く残る。文化を変えるためには人事改革が欠かせない。まずは組織を壊すことから始めた澤田社長の改革は人事にも向かう。従来の「グループ企業序列」と「出世のルート」が激変することになりそうだ。特集『デジタル貧国の覇者 NTT』(全18回)の#7では、激変しつつある「グループ企業序列」と「出世のルート」を解明した。(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)

ジョブ型時代に逆行!
究極のメンバーシップ型組織

 世の中、ジョブ型祭りである。富士通、日立製作所、KDDI――。新型コロナウイルスの感染拡大により、職務や職場が限定される「ジョブ型」の働き方へシフトする企業が増えている。テレワークの浸透で職場にいない従業員が増えたため、企業は仕事(職務)の中身を“見える化”することで、生産性をアップしようとする意図があるのだろう。

 その点、NTTグループは時代と逆行しているといえるのかもしれない。あるNTTグループのOBは「NTTは“究極の”メンバーシップ型組織を貫いている」と言い切る。

 一般的には、メンバーシップ型社員とは年功序列や終身雇用を前提に、職務や勤務地を限定しない無限定社員のことをいう。要するに、メンバーシップ型雇用とは、企業の都合の良いように社員を自由に配置転換できて、「会社色に染まったゼネラリスト」を養成する仕組みだ。

 本稿で、ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の優劣を論じるつもりはない。レガシーを引きずる日本企業は、どちらを採用したとしてもある程度のひずみが生まれることが多い。

 NTTの人事のポイントは、“究極の”というくだりだ。職務や勤務地が限定されていないといった表層的な制度の縛りだけではなく、グループ内の人事で「極めて属人的な要素が強い」(前出のOB)という意味でよりウェットなメンバーシップ型組織だというのだ。例えば、抜てきされるには幹部を知っておくことも大事で「持ち株会社への出向経験が多いと、経営幹部に知り合う機会が増え、有利になる」(NTT社員)という声が聞かれる。

 社員のつながりが強く、NTTグループ内でしか通用しない「人事の流儀」が深く根付いている。1985年の民営化以降も独占・分割問題と戦ってきたNTTには、一般の民間企業が持ち得ない、独特のカルチャーが根強く残っているのだ。

 NTTの人事の流儀とは。その特徴は三つある。