グループ内に分散していた海外事業の再編、持ち株会社によるNTTドコモの完全子会社化――。旧来型組織を壊しまくっている澤田純・NTT社長が目指すNTTグループの最終形とは。ドコモ完全子会社化に続く、次なる再編計画に注目が集まっている。特集『デジタル貧国の覇者 NTT』(全18回)の#2では、経営幹部へのヒアリングを基に、NTTグループの将来像を大胆に先読みする。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
かつての敵手も唸らせる
「グループ再結集」の集大成
「澤田さんが狙っているのは、昔のような『1社体制』への回帰ではないだろう。あくまで海外で勝つための手段で、その判断は合理的だ」
NTTを所管する総務省の幹部は、澤田純NTT社長が推し進めるグループ再編を評価する。1999年のNTT分割後も、事あるごとに対立してきた敵手だが、今や「大NTT」への理解者だ。
96年に澤田氏は、NTTの再編成室にいた。旧郵政省(現総務省)との分割・再編をめぐる激しい交渉で、NTTが「分割反対」の根拠にしていたのが「海外で戦うために分割している場合ではない」との主張だった。
この主張を当時の郵政省が退けたことでNTTは分割・再編に至った。それから20年余りが経過したが、澤田社長は今なお「海外で勝てる強いNTT」を持論にしている。
当時と違うのは、事業領域を拡大させて、海底ケーブルやデータセンターなど通信の分野に攻め込んできた米GAFAへの強い危機感だ。
この脅威に追い立てられるように、澤田社長は、かつてのNTTにはみられないスピード感で、グループ変革に着手している。NTTにとってグループ再結集は悲願だが、「大NTT」の完成形がおぼろげながら見えてきた。GAFAへの逆襲に臨む最強の組織とはどんなものなのか。
「大NTT」を構成する
4大ポートフォリオ
澤田社長は、18年6月の就任から、矢継ぎ早にグループ再編を進めている。
同年8月にグローバル事業の再編を打ち出し、10月には不動産事業の統合に着手。翌19年には電力事業を統括する新会社を設立して子会社を再編した。これに続いて乗り出したのがドコモの完全子会社化を起爆剤にしたNTTコミュニケーションズとの一体化だ。
その判断は極めて合理的だ。これまで澤田社長が打ってきた施策を読み解けば、NTTグループの最終形が浮かび上がってくる。
経営幹部らの取材を基に、ダイヤモンド編集部ではその将来像を大胆予想してみた。次ページに記したのが、そのイメージ図である。