2019年から20年にかけて施行された改正相続法では、妻の老後の生活を守るための制度が複数創設された。
また、長寿時代は喜ばしい一方で、認知症患者の急増という側面を併せ持っており、それは相続にも大きな影響を及ぼしている。
認知症になれば、遺言書の作成など、相続に対する意思を表明する事務手続き一切ができなくなる。このまま高齢化が進めば、双方が認知症という夫婦が増え、配偶者が故人の意思を代弁することも難しくなっていくだろう。
残された家族が一番困ること、それは「亡くなった人の意思がわからない」ことだ。法定相続分通りに分けるといっても、自宅などの不動産は分けられない。故人の意図がわからないため、遺産を前にお互いの利害がぶつかって、大きなもめ事に発展することもあるのだという。
「人生100年時代」が到来する今後、夫婦が双方元気なうちに、先に亡くなる方だけでなく、もう一方の相続まで考えた準備をしておいた方がよさそうだ。
そして、忘れてはならないのが相続税の問題である。15年の税制改正で相続税がターゲットとなり、課税対象者が急増。現状、相続税対策として一般的な生前贈与も、今後数年間のうちに相続と見なされ、課税対象が拡大する可能性が高いという向きもある。国税は虎視眈々と富裕層の相続に狙いを定めているのだ。
これまでの常識が通用しなくなる今後の相続はどのような対策が必要か。特集では、「夫婦」「人生100年時代」「増税への備え」の三大キーワードで読み解いていく。