コロナ禍の生活不安と
生きづらさが子育て不安に直結

 これだけの急落となると、少子化対策だけでなく、高齢化が早まることで社会保障政策への全般的な見直しを迫られそうだ(図表8)。

 団塊世代が90歳代になる頃に、若年層が少なくなると多くの社会保険制度の維持が難しくなる。医療保険をはじめ介護保険、年金制度など、どの制度もいずれも勤労者を中心とする現役世代の拠出金に頼っているからだ。労働力不足も深刻になり、外国人への門戸開放策に急ピッチでかじを切らざるを得ないだろう。

 出生数の縮減をもたらした最大の要因は、コロナ禍による生活不安だろう。失職やその可能性が高まれば婚姻への意欲が下がる。女性の非正規雇用は増え続けており、コロナ禍でより拍車がかかる。非正規雇用は全体の4割弱を占めるまで膨らんでいる。

 そもそも、男尊女卑の考え方がいまだに強固な日本社会。その中で、子育ての「負担」を抱えながら経済的自立を企てようとの試みは至難の業である。職場や家庭での賃金、家事などでの平等性が確保されず、「無意識の偏見」も抜け切らない。生きづらさが子育て不安に直結する。

 国際比較すると分かりやすい。ダボス会議を主催する世界経済フォーラム(WEF)が発表した男女平等の度合いとなる「ジェンダーギャップ指数」にはっきりと示されている。2019年版ランクで日本は153カ国中121位となり、過去最低に転落した。フィリピン(16位)、タイ(75位)、インドネシア(85位)、中国(106位)などアジア諸国の後塵を拝している。

 その順位に表れた女性たちの「思い」が戦後一貫として出産数の低落をもたらした。何しろ1973年以降の46年間で、出生数は半分以上に減った。いわば女性陣の「出産ストライキ」である。コロナ禍がその状況に追い打ちをかける。就業不安が生活不安を生み、出産をためらわせる。

(福祉ジャーナリスト 浅川澄一)