40歳を目前にして会社を辞め、一生懸命生きることをやめた韓国人著者のエッセイが、日韓で累計40万部のベストセラーとなっている。『あやうく一生懸命生きるところだった』という本だ。2020年の「日本タイトルだけ大賞」で大賞を受賞したインパクトあるタイトルに加え、その内容にも「心が軽くなった」「読んで救われた」「人生のモヤモヤが晴れた」と共感・絶賛の声が相次いでいる。
そんなベストセラーエッセイの待望の続編『今日も言い訳しながら生きてます』が1月27日に発売となる。今作もまた、「人間関係は二の次でいい」「結婚は義務ではなく選択」「競争しないのも一つの選択肢」「友達は少ないに限るよ」など、肩から力が抜け、心が軽くなる金言であふれている。今回は、そんな本書の内容を抜粋して紹介していく。

「格付け」ばかりされる、つらい世の中

 いつだったか、とある結婚相談所による会員のランク付けが物議をかもしたことがあった。会員たちのルックス、学歴、家柄、職業、経済力などを総合してランク付けしていたからだ。高級牛肉でもあるまいしランクで分けるなんて。

 ところで、急にものすごく気になった。

 僕のランクはどのへんだろう?

 ……ああ、そんなこと気にするんじゃなかった。もし、あなたがネットで格付けテストを探そうと思ったならやめたほうがいい。十中八九、ゆううつになるから。

 ちなみに僕は、最下層ランクにも満たない、まさかの”ランク外人間”だった。まあそれほど高くないだろうとは思っていたが、これほどとは……。

 結婚相談所に登録することなんか、この先もきっとないので無視すればいいのだが、何というか、まるで人生の通知表をもらったような気分だった。留年だよ。

 特に、異性を引き付ける能力のランクでは、箸にも棒にも掛からないところに位置していて、その事実が一層ゆううつにさせた。薄々勘づいてはいたが、わざわざ思い知ってしまった。僕は結婚できないのではなく、してないだけなんだって何度も言っているだろう……?

「言い訳」こそ人生には必要だ

 そんな最下層ランクの僕も生きている。それもサイコーに楽しくだ。

 それを可能にさせているのが、言い訳、つまり自己合理化する力だ。自己合理化の思考がなければ、きっともう死んでいただろう。

 いや死んでいなかったとしても、死んだように生きていただろう。客観的な視点でのみ自分の人生を判断していたのなら、きっと耐えられなかったはずだ。

 絶望の淵に立ち、毎日浴びるように酒を飲み、どうにかして自分のランクを上げようと歯を食いしばって生きていたと思う。

 そんな生き方、どう転んでも楽しそうではない。一度きりの人生なのに、そんな暗い気持ちで生きていくなんてあまりにももったいない。どうせなら楽しく生きたほうがいい。

今日から「主観的」に生きてみよう

 もちろん、何でもかんでも言い訳するのは人生をダメにする近道だ。でも、適度な言い訳は人生をおいしくしてくれる味の素みたいなものだ。

 つまり言い訳(自己合理化)とは、悩み多き現実社会で、心折れずに生かしてくれる最後の砦なのだ。どこか一方からだけでなく、さまざまな角度から自分を映してくれる鏡でもある。

 客観的な視点にとらわれて生きるのではなく、少しは主観的に生きてみたらどうだろう?

 ひょっとしたら、僕たちはそれができないから、これほどまでに苦しんでいるのかもしれない。

(本原稿は、ハ・ワン著、岡崎暢子訳『今日も言い訳しながら生きてます』の内容を抜粋・編集したものです)