障がい者を雇用することが企業に与える好影響

 最後に、「障がい者雇用について今後の予定をお聞かせください」という設問の結果を見てみよう。

 [法定基準を満たすよう雇用したい]が28%、[自社に必要な能力がある障がい者がいれば雇用したい]が27%という高い数字を示しているのに対し、[積極的に雇用したい]がわずか5%となっている。慎重で、どちらかと言えば「消極的」な企業の姿勢がうかがい知れる数字だ。採用活動や仕事を創出すること(仕事の切り出し)の難しさ、社内理解が進まないといった悩み、障がい者対応の設備投資がままならないことなどが「消極的」となる要因のようだが、一方で、「積極的」な姿勢にある企業の声を手塚氏に聞いた。

「『障がい者のための職種開発が、結果として、健康上の問題が生じた既存社員の雇用の受け皿になることがあった』というコメントもあり、健常者の社員が障がい者になった例も散見されます。誰でも障がいや病気を抱える可能性があり、障がい者のための仕事の切り出しが既存社員を助けることにつながったという声は貴重です。また、毎年のポジティブな声として、『障がい者を雇用し、環境を整備することで全従業員にとって働きやすく安全な職場になった』『仕事ができるできないは障がいの有無に関係ないことを従業員に認知してもらえた』といったものがあります。障がい者が会社に入ることで、良い影響を得る会社は多いです。雇用してみて初めて分かることもあるので、障がい者雇用をしていない企業は、『無理だ、ダメだ』と諦めずに、ぜひチャレンジしていただきたいです」