障がいのある人の就労意欲こそ社会の大きな力

 こうしたアンケート調査の公表や障がい者就労に関する行政(厚生労働省・各自治体など)の取り組みは、当事者(障がいのある人)や人事・労務担当者、ダイバーシティ&インクルージョンに関心の高いビジネスパーソンの目には留まるものの、多くの人には“関係のないこと”で流されてしまうことが多い。

 しかし、生産年齢人口の減少に伴い、労働力人口*7 も減少に転じていくはずの日本において、障がいのある人の就労意欲は社会の大きな力になる。働きたい人が気持ちよく働くことのできる職場作りのために、「関係ない」「知らない」ではなく、誰もが正しい情報を得て、理解し、お互いに支え合っていく姿勢がよりいっそう必要だろう。

*7 労働力人口は、15歳以上人口のうち、就業者と完全失業者を合わせた人口のことで、2012年以降は微増している(独立行政法人労働政策研究・研修機構データより)

「私たちは、全国求人情報協会に参画する1社として、今後も『障がい者雇用支援キャンペーン』への参加と、『エン転職』に障がい者雇用特設ページを開設し、求人企業への啓発と障がい者求人広告の無料掲載を実施してまいります。求職者の就業決定をゴールにするのではなく、就業後に企業業績にも貢献し、充実した仕事人生を送っていただくための情報提供を大切にしています。障がいがあっても、仕事で活躍できる人を増やすため、より良い求人広告を企業と共に作成していきます。また、こうしたアンケートを例年実施している『人事のミカタ』では、障がい者雇用における法定雇用率の達成状況の調査やノウハウの発信も続けていきます」(手塚氏)

 障がい者や外国人雇用におけるアンケート調査の回答数字は、ダイバーシティ社会の成熟度をリアルに表していく。コロナ禍を経て、 “ポジティブなリアル”に向き合えるかどうかは、社会で働く一人ひとりの“ココロスタイル”*8 にかかっているのだ。

*8 「ココロスタイル」は、「オリイジン」が定義するダイバーシティ社会での“ココロの在り方”のこと。自他のココロの在り方を理解し、尊重することを提唱している。

※本稿は、現在発売中のインクルージョン&ダイバーシティマガジン「オリイジン2020」からの転載記事「さまざまな障がい者の雇用で、それぞれの企業が得られる強み」に連動する、「オリイジン」オリジナル記事です。