2020年秋の伊藤忠商事によるTOB(公開買い付け)と非上場化をきっかけに、経営体制を刷新することになったファミリーマート。伊藤忠・岡藤正広会長CEOの「懐刀」として送り込まれる新社長には、加盟店の「21年問題」という最大の経営課題が早くものしかかることになる。(ダイヤモンド編集部 中村正毅)
副会長として残留した
澤田社長の複雑な胸中
「え、副会長としてファミマに残るんですか」
コンビニエンスストア大手ファミリーマートが社長交代を発表した1月13日。加盟店オーナーたちの耳目を集めたのは、次期社長として伊藤忠商事が送り込む細見研介執行役員ではなく、むしろ澤田貴司社長の新たな役職だった。
20年秋、親会社の伊藤忠商事によるTOB(公開買い付け)が完了し、ファミマの上場廃止が決まった。その前後から社長交代の観測が強まる中で、加盟店をはじめ関係者の多くは、澤田社長が退任と同時にファミマを離れるだろうとみていた。
ファーストリテイリング副社長や、企業再生支援会社リヴァンプの立ち上げなどを経験した澤田氏が、伊藤忠で同期だった中山勇氏からバトンを受け継ぎ、ファミマの社長に就いたのは今から5年前の16年9月のことだ。