ファミマの中高年リストラで渦巻く伊藤忠商事への不信と絶望Photo by Satoru Okada

業界2位のファミリーマートが揺れている。希望退職者の募集に対して予定を超える応募があり、退職金の割増金額が支払われない「適用否認」になるとの観測が社内を駆け巡ったのだ。加えて、人事評価の低い社員に繰り返し退職を迫る“クビ切り”マニュアルの存在も発覚。対象となった中高年社員の不満は主に、親会社として経営企画や管理部門に出向者を送り込んだ伊藤忠商事に向けられている。特集『コンビニ搾取の連鎖』(全12回)の#1では、ファミマのプロパー社員を失望させたリストラ策について取り上げる。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

繰り返した合併で業界2位に躍り出たが
既存店売上高はほぼ横ばいと低成長

「辞めたくない人間を辞めさせ、辞めるつもりの人間には判断を翻す。社員をあまりにもばかにしているのではないか」――。

 コンビニ業界2位のファミリーマートのあるベテラン社員は、目に涙を浮かべて訴える。

 ファミマが2019年11月に発表した、40歳以上の社員を対象にした希望退職者の募集。募集人数は全社員の1割に当たる800人とされた。

 このリストラを巡り、社内では経営陣への怒りや不満が渦巻いている。その要因は、“クビ切り”への単純な反発とはやや異なる。ファミマを18年に子会社化した大手商社の伊藤忠商事によるファミマ支配の構図と相まって、複雑な様相を呈しているのだ。