これまで拡大を続けてきたコンビニエンスストア業界が、大きな曲がり角を迎えている。市場の飽和と経営悪化で強まる加盟店の反発の先には、大量閉店のリスクが待ち受けている。特集『総予測2021』(全79回)の#35では、21年のコンビニ業界を予測する。(ダイヤモンド編集部 中村正毅)
コンビニ店舗数が
ついに減少トレンドに突入
これまで右肩上がりの成長を続けてきたコンビニエンスストア業界で、国内市場の飽和が一段と鮮明になってきた。
日本フランチャイズチェーン協会の調べによると、全国のコンビニ店舗数は2019年末で5万5620店。5万5000店を超えた17年までは、店舗の純増数が年間で1000から2000店ほどだったものの、以降は急ブレーキがかかっており、19年末は前年比で121店減とついに減少へと転じている。
20年は10月末時点で5万5872店と微増しているものの、大手各社の出退店の動向を踏まえると、21年以降は小幅な増減を繰り返しながら、いよいよ減少トレンドに突入しそうだ。
事実、ローソンは1000店を超えていた出店数が19年度はほぼ半減したこともあって、国内店舗数が200店強純減。セブン-イレブン・ジャパンでは、年間500店以上あった店舗純増数が、19年度は10分の1以下の40店にとどまっている。
両社に共通しているのは、立地移転を除いた閉店数が増加傾向にあることだ。
一方のファミリーマートは、19年度の閉店数が80店で、大手2社の半分以下の水準だ。全国の店舗数も純増しており、堅調に拡大しているように見える。
ただ、今後「大量閉店」のリスクを最も抱えているのは、実はファミマだ。