ジョー・バイデン米次期大統領は、選挙戦で国民の融和を喫緊の優先課題に掲げていた。その任務はここにきて、はるかに困難さを増している。米国を見舞う新型コロナウイルス禍、文化的および人種的な分断、そしてドナルド・トランプ大統領の支持者による連邦議会議事堂占拠。混乱を極める現在の状況は、就任早々からバイデン氏に重くのしかかり、政権運営を脅かしている。バイデン氏は就任に当たり、2つのジレンマに直面する。1つはコロナ救済策など重要政策の迅速な立法化を目指す一方で、同時に上院では暴動扇動の責任を巡り、トランプ氏の弾劾裁判を進める必要があるという点だ。もう1つは、トランプ氏とともにバイデン氏の勝利認定を拒んだ議員を処罰するよう身内の民主党内から要求が強まっており、共和党との連携の架け橋になることを掲げていたバイデン氏は、難しいかじ取りを迫られている。