出願者激減予想の神奈川

 東京と神奈川については、まず、相次いだ面接の中止の影響を考えてみたい。これまでTwitterで順次お知らせしてきたが、圧倒的に女子のミッションスクールが多い。入学者選考に反映する学校とそうではない学校があるものの、面接にはその学校へのロイヤルティーを促す要素もあるため、そこが欠落することがどのような影響を与えるのかというのが一点、もう一点は空いた午後の時間を受験生がどのように活用するのかという点である。

 結論からいえば、いずれも特に大きな影響を入試に与えることはなさそうである。後者については、特に難関校に顕著だが、1日午後に併願校として受ける学校があまり見当たらないという点が挙げられる。併願校の定番はいずれも2日に顔をそろえているし、今回のように出願開始のタイミングで表明されても、いまさら新しい入試の設定も不可能だからでもある。

 詳しくは次回に触れるが、女子校の場合、創立から100年を超えるような知名度の高い伝統校の人気は、進学実績を含む学校の教育力がはっきりと見えるようになるかが左右する。

 ここで12月に実施された大手四模試(SAPIX・首都圏模試・日能研・四谷大塚)の志望状況から、まずは神奈川の主な動きを見ておこう。横浜女子御三家はいずれも面接を取りやめている。この中でも、2月1日に行われる横浜雙葉の予想倍率1.3倍はかなり衝撃的な数値だ。これまでの1.5倍程度からさらに緩和した。理系進学比率が過半を大きく超える教育力を考えれば、2021年最大のお得校といえるかもしれない。他の2校も倍率は2倍前後と低い。お得という点では、男子にとっての中央大学附属横浜が挙げられる。2倍台半ばだった2日午後の予想倍率が2.1倍まで緩和している。

 神奈川では、男子校の御三家+サレジオ学院や女子校の洗足学園などを除き、多くの入試が大幅に出願を減らしそうな状況にある。中には半減という女子校もあり、これは大波乱と言っていい。この状況はリーマンショック後に似ている。あのときは中堅校2割減、下位校4割減だった。その要因として考えられるのは、特に多摩川に近い学校ほど顕著な東京に吸い寄せられる傾向である。

 東急田園都市線やJR湘南新宿ラインが典型だが、都内のターミナル駅に直結する路線の沿線にある学校が神奈川の受験生を吸い寄せる傾向にある。2019年末に開通した相鉄・JR直通線がJR新宿駅に乗り入れることで、相鉄沿線からも東京都心の学校へのアクセスが格段に良くなった。