マネーサプライとともに金価格も上がる
リーマンショックやコロナショックのときの量的緩和は、国内経済の混乱や不況を抑えることが目的でした。
量的緩和はインフレにつながりますから、不況時に起きるデフレ対策や価格安定といった効果が見込めます。市場に出回るお金が増えれば、企業の投資や民間の消費も刺激できます。
これは、いわばケガをしたときに絆創膏を貼るようなもので、コロナショック時に無制限で量的緩和したように、マネーサプライを絆創膏にすることで一定の効果は得られます。
ただ、マネーサプライの推移を見ると、リーマンショックなどの危機に関係なく、ほぼ一方通行で増えています。
その理由は断言できませんが、大きなクラッシュが起きたときのショックを和らげたり、定期的に起きる中規模なクラッシュが大きなクラッシュになるのを防ぐために、あらかじめ市場のお金を増やすといった意図があるのかもしれません。
あるいは、クラッシュが起きると、そのときの政治家が責任を追及されるため、その可能性を抑えるために中央銀行にプレッシャーをかけて、マネーサプライを増やすという政治的要因があるのかもしれません。
クラッシュが起きるとすれば、その原因は「1つ目の理由」で説明したとおりです。
世界の歴史を見ると、政府の負債の積み重ねが引き金となってクラッシュが起こる可能性があり、あらかじめマネーサプライを増やしてもクラッシュのリスクは小さくできません。
クラッシュ時のダメージが「ケガ」だとすれば、負債の増加は「心臓病」のようなものですから、絆創膏を貼っても治りません。
「心臓病」を予防するためには、運動したり食生活を改善するなどして健康的で健全な財務体質にならなければならないのです。
ただ、そうは言ってもマネーサプライが過去数十年にわたって増え続けてきたことを考えれば、伸び率が鈍化することはあるでしょうが、急に減る可能性は考えにくいでしょう。
この状況を見る限りでは、ドルと逆相関(マネーサプライと相関)する金価格も上がっていくだろうと予測できます。
それこそが、値上がりという点から見て金を買うのがよいと考える理由であり、金を勧める理由でもあるのです。