現在の金価格は安すぎる

 私は、金価格は将来的に5000ドルまで上がると考えています。

 この点については、マネーサプライの増加ペースと金価格の値上がりペースを見るとわかりやすいと思います。

 マネーサプライと金価格の推移を見比べてみると、マネーサプライが大きく増加しているのに対して、金価格の上昇率が鈍いことがわかります。

 それを表しているのが「金価格÷マネーサプライ」を示した次の図で、直近の数値は0.5を下回り、歴史的に見てもかなり低い位置にあります。

「金価格が2倍3倍に上昇する可能性も」元ウォール街投資家の市場予測出所: Trading Ecnomics https://tradingeconomics.com/

 原因は2つ考えられます。

 1つは、マネーサプライの増加が異常であること。

 もう1つは、マネーサプライと金価格には高い相関性があるにもかかわらず、金が安い価格で放置されているということです。

 直近の値動きを見ると、金価格そのものは安値ではありません。

 直近高値だった2011年の価格を超えていますから、急騰しているように見えますし、高値水準に見えます。

 しかし、重要なのはマネーサプライとの比率です。

 連動しているはずのマネーサプライとの比率を見ると、それなりに上がっているように見える金価格ですが、まだまだ上昇の余地があると読み解くことができるのです。

 また、過去の比率の推移を見ると、金価格が高騰していた80年代をのぞくとしても、平均でだいたい「1から2の間」くらいでしょう。

 2020年は、0.5前後で推移していました。

 仮に比率が1に戻るのであれば、金価格は現在の価格の2倍に上がります。比率が2まで戻るのなら金価格は4倍に上がります。

 つまり、将来的に金価格とマネーサプライの比率が平均値に戻っていくとすれば、仮にマネーサプライの増加が伸び悩んだり止まったりした場合でも、金価格は4000ドルから8000ドルになるだろうと予測できるのです。

 余談ですが、ここで説明した根拠に基づく「金5000ドル説」は、金がまだ1200ドルから1400ドルくらいの間をうろうろしていたころから考えていました。

 縁あってプレゼンテーションした大学の投資サークルなどでも話してきましたし、2019年にYouTubeチャンネルを開設したときも、すぐにこの話をしました。

 当時はまだ2011年の高値である1800ドルも遠いと思われていたため、2000ドルならまだしも、5000ドルは突拍子もない予測に見えていたのです。

 私自身、すぐに5000ドルまで上がるとは思っていません。

 ただ、これから30年、早ければ20年、もしかしたら10年くらいの期間で見れば、十分ありえる価格だと思います。

 老後資金を見据えた30年くらいの長期投資なら、5000ドルはもちろん、もしかしたら1万ドルもあるかもしれないと思っています。

 短期的には値動きの波がありますので一方通行には上がらないでしょう。しかし、長期的に買い始めるのには今がよいタイミングかもしれません。

(本原稿は『ゴールド投資──リスクを冒さずお金持ちになれる方法』からの抜粋・編集したものです)