自主性を尊重して学習する
「赤ちゃんのOJT」

 ベビーレッドウィーニングは、「赤ちゃん主導の離乳」を意味する言葉で、イギリスで発祥したそう。その名の通り、赤ちゃんの「自主性」を大事にした方法です。

写真:てづかみPhoto by Yukari Mitsuhashi

(皮や種を取った)リンゴや梨をゆでて大きくカットしたもの、人参をローストしたもの、ヘンプシードやチアシードなどをまぶしてつかみやすくしてあげたアボカドといったフィンガーフード(指でつまめる食材)をあげて、自由に食べてもらうのです。赤ちゃんがぐちゃぐちゃにしても、口に入れたり出したりしていてもOK。

 ベビーレッドウィーニングの利点の一つが、親と似たものを赤ちゃんに食べさせられること。特に開始初期は「食材を焼く」「食材を蒸す」といったベーシックな調理で済みます。そのためパパも作りやすく、自分の手料理を食べる赤ちゃんを見るのはうれしそうです。

 私がベビーレッドウィーニングに惹かれた一番の理由は、赤ちゃんが持って生まれてきた「世界への探究心」を生かせる点です。生後6カ月ごろの赤ちゃんを観察すると、手にしたものを口に運んでは、なめたりかんだりしています。赤ちゃんが自然と行っているこれらの行為を、食卓でも継続できる、「赤ちゃんが赤ちゃんらしくいられる」自然なアプローチのように感じたのです。

 大人の職業訓練に例えるなら、「席に座って講師の講義を聞く」ことが「従来の離乳食」で、「OJT(On the Job Traininng/実践型教育)で実践しながら仕事を習得していく」ことが「ベビーレッドウィーニング」と言えるかもしれません。

 次男のベビーレッドウィーニングは、「Solid Starts」というサイトを参考に進めています。3人のお子さんをベビーレッドウィーニングで育てる創業者のジェニー・ベストさんを筆頭に、小児栄養士、摂食セラピスト、嚥下(えんげ)専門医(のみ込む行為の専門家)なども連携して運営しているため、信頼を寄せています。

さまざまな食材をツールにして
赤ちゃんが「口のなかの地図」を描いていく

 同サイトの例えば下記のようなインスタグラムアカウントを見れば、各月齢の赤ちゃんが「自主的に」食べる様子のイメージが湧くと思います。

 彼らいわく、最初からフィンガーフードを与えることのメリットの一つが 「oral mapping」。意訳すると「口の中の地図を描く」こと。大人が口のなかで舌や頬を使って魚の骨をうまく取り出せるのは、「口の中の地図が出来上がっているから」だそう(参照:https://www.instagram.com/tv/CHtVBRnFjbX/?igshid=ha9s0c5onvby)。 

 日本の一般的な離乳食は、まず「1日1回食」から始めて徐々に回数を増やしていきますが、ベビーレッドウィーニングは、初めから「1日2回食」。赤ちゃんは、さまざまな食感やテクスチャーを持つ食材をツールに、口の中の状態を理解し、安全かつ上手に食べるスキルを身につけていきます。 

「Food before one is just for fun」(1歳までの食事は楽しむためのもの)と言ったりしますが、初期のベビーレッドウィーニングは、のみ込むことだけでなく、食と良好な関係を築くことを大切にしているのです。