東大医学部卒の医者ママである森田麻里子医師は、自身の息子が毎日6時間寝ぐずりを続ける日々が続いたそうです。そこで睡眠に関する医学研究を徹底的に調査し、1本のメソッドにまとめて実践したところ、なんと息子が3日で即寝体質に!
そんな夢のような寝かしつけの方法を徹底的にわかりやすくまとめた新刊『医者が教える赤ちゃん快眠メソッド』には、夜泣きに悩むご家庭なら必ず知っておきたい知識が満載です。「寝かしつけが手厚すぎると逆に夜泣きが増える」といった意外な事実から、「保育園での多すぎるお昼寝、少なすぎるお昼寝への対処法」「最適な寝かしつけタイミングがわかる8つのサイン」といったすぐに使えるノウハウまで網羅。そんな本書の中から、一部を特別に無料で公開します。

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母乳育児は夜泣きが多いが
黄昏泣きは少ない

 私は、母乳育児でもミルク育児でも、夜泣きという点ではあまり変わらないと思っています。

 寝かしつけるために夜だけミルクを足している方もいますね。これまでの研究では、母乳育児のほうが夜中に目が覚める回数が多い傾向にあるようです。しかし、母乳育児のほうが夕方の黄昏泣きは少なかったり、親の睡眠時間はむしろ増えたりするという結果も出ています。

 1997年のアメリカ・イーストテネシー州立大学の研究では、44人の赤ちゃんの生後4週のときの睡眠時間を母親に記録してもらいました(*1)。その研究によると、母乳育児の赤ちゃんのほうが、ミルク育児の赤ちゃんより夜泣きが多く、夜の睡眠時間も少ないという結果でした。

 一方で、2012年にイスラエルから発表された論文では、生後2~4ヵ月の赤ちゃんの母親94人にアンケート調査を行っています(*2)。母乳育児とミルク育児で比較したところ、母乳育児の赤ちゃんのほうが黄昏泣きは少なく、そして夜に泣く回数は多いものの、夜の睡眠時間は変わらなかったという結果でした。

 2007年のアメリカ・カリフォルニア大学の研究では、生後3ヵ月の赤ちゃんがいる両親133組を対象に調査を行っています(*3)。その結果、母乳育児のママ・パパよりもミルク育児のママ・パパのほうが、一日の睡眠時間が40~45分間短いという結果が出ています。

 母乳を与えるよりもミルクを作って与えるほうが時間が長くかかるので、睡眠時間が短くなってしまうのかもしれません。

 ミルク育児のほうが夜泣きが少ない傾向にあるのは、ミルクのほうが腹持ちがよいからというよりは、親の行動が変わるからではないかと思います。

 ミルクなら与える間隔が容器に書いてあるので、その時間や回数にある程度従います。前回のミルクから3時間たっていなければ、お腹がすいたのではないだろうと判断して、新たにミルクを与えず、違う方法であやそうと努力しますよね。

 一方で、母乳だと1、2時間しか間隔が空いていなくても、もしかしたらお腹がすいたのかもしれないと思い、すぐ授乳するという対応になりがちです。

 母乳の分泌量に不安がある場合に、夜にミルクを足すのはかまいません。ですが、ミルクを足したりミルクに変えたりすることで赤ちゃんが寝つきやすくなるとは限りません。母乳でもミルクでも、赤ちゃんが泣いたとき、何を要求しているのか考えることが大切です。

 赤ちゃんがお腹がすいているならあげる、ただ眠いだけなら違うあやし方をする、とシンプルに考えてみてください。

*1 Quillin SI (1997) Infant and mother sleep patterns during 4th postpartum week, Issues Compr Pediatr Nurs 20(2): 115-23.
アメリカの生後4週の赤ちゃん44人の睡眠時間を調べた観察研究。睡眠時間は母親に記録してもらったものを使用している。母乳育児の赤ちゃんのほうがミルク育児の赤ちゃんより夜泣きが多く、夜の睡眠時間も少ない。たとえば、第一子の赤ちゃんの場合、母乳だと夜の覚醒回数は平均1.79回、ミルクだと0.92回。夜の睡眠時間はそれぞれ平均6.53時間、6.79時間。ただし、「夜」という言葉は、母親が夜に寝ている時間帯と定義されている。
*2 Cohen Engler A, Hadash A, Shehadeh N, Pillar G (2012) Breastfeeding may improve nocturnal sleep and reduce infantile colic: potential role of breast milk melatonin, Eur J Pediatr; 171(4): 729-32.
イスラエルの生後2~4カ月の赤ちゃんの母親94人を対象とする観察研究。母乳育児とミルク育児で比較したところ、母乳育児の赤ちゃんのほうが黄昏泣きが少ない(56%VS72.5%)、そして夜に泣く回数は多い(平均1.88回VS1.49回)ものの、夜泣きをしている時間は変わらなかった。
*3 Doan T, Gardiner A, Gay CL, Lee KA (2007) Breast-feeding increases sleep duration of new parents, J Perinat Neonatal Nurs; 21(3): 200-6.
アメリカの生後3カ月の赤ちゃんがいる両親133組を対象に行われた観察研究。母乳育児の母親よりもミルク育児の母親のほうが一日に平均40分睡眠時間が短いことがわかった。