評価数値以外をマネジャーがしっかり見て、
チームやグループの全体最適をはかることが大前提
現実に、外資系企業の中には、事情を理解せず日系企業から来た新参者に、厄介な仕事を押し付けることが通例化しているところもあります。
つまり、欧米企業で一般的な個人の能力で治める「人治」式マネジメントのもとでは、評価数値以外をマネジャーがしっかりと見て、チームやグループの全体最適をはかることが大前提なのです。
そもそも仕事の出来高に応じて報酬を得る感覚が一般的な米国では、働く側も評価の是非について言うべきことを述べ、マネジャー側もチームワークなど、働くものとして当たり前のことをはっきりと口にして指導を行う文化があります。
考えを主張し、正しいイニシアティブを発揮することに意義を認める文化の下で発達したのが米国発の成果主義の評価体系なのです。
ところが多くの日本企業では、成果主義評価を表面的な利便性だけで導入してしまい、その前提となる、組織としての「べき論」を重視する「躾」を行う文化づくりは重視されませんでした。
かくして、「躾」の文化が弱い企業では、エゴイズムの静かなる暴走が始まり、「自分の評価に関係ないことには俺の担当じゃない」「我、関せず」と皆が見て見ぬふりをしている状態が放置される事態が起きてしまいました。
本来ならば導入支援を行った人事系コンサルタントが、この肝心の押さえどころを事前に強調して説き、文化を作る指導を行うべきだったのですが、「それは当たり前のことですから、自社内でやってください」と一言添える程度で手を放したのです。
つづく