「不安をマネジメントする」手法でのメンタルケア

 厚生労働省の「令和2年 障害者雇用状況の集計結果」によれば、特例子会社における被雇用者のうち、身体障がい者は1万1573人(前年1万1939.5人)=前年比*6 96.9%、知的障がい者は2万552.5人(前年1万8885.5人)=前年比108.8%、精神障がい者は6793人(前年5949.5人)=前年比114.1%であり、特例子会社において、精神障がい者(発達障がいを含む)の雇用がこの先さらに増えていくのは間違いない。その一方で、精神障がい者のサポートは知的障がい者や身体障がい者に比べて難しいともいわれている*7 。パーソルチャレンジは、精神障がい者に対してどのようなサポートを実践しているのだろうか。

*6 前年比は当記事(「オリイジン」編集部)調べ
*7 参考:「オリイジン」WEBオリジナル記事 「障がい者雇用で『ジョブコーチ』に求められる役割」

 弊社の場合、精神障がい者のサポートが他の障がいに比べて難しいという発想はしていません。精神障がい者を含む障がい者の(実は健常者も)メンタルケアは大きくふたつに分けられると考えています。

 ひとつが「会社生活に関するケア」で、これは仕事と人間関係に関するケアになります。弊社の場合、弊社固有の「不安をマネジメントする」*8 という手法を取り入れ、会社生活で発生する「不安」を未然に防ぐ取り組みと発生時に早急に探知・対処するという手法で安定就労を図っています。ちなみに、これらの取り組みは精神障がい者に限定していません。上司とのライン上の対応だけでは解決とはならないケースもありますので、少数ですが、非ライン系の相談スタッフも設けています。

 もうひとつが「会社以外の私生活に関するケア」です。この、「私生活に関する」ことが精神障がい者の退職理由*9 として、実は隠れた最大理由だと推測しています。ただし、私生活に関する問題は会社では立ち入りできないことでもあります。弊社の場合、「不安のマネジメント」を通して、会社以外の理由と思われる体調不良に関してはナカポツ*10 や(就労中の障がい者)出身の支援機関、医師と蜜に連携し、対応してもらうことにしています。

*8 参考記事:パーソルチャレンジWEBサイト 障害者の雇用管理ポイント~雇用後のトラブルや離職を防ぎ、定着するために~
「精神障害者の雇用の取り組みから考える多様性と生産性を実現するトータルマネジメント手法」が「第7回 日本HRチャレンジ大賞」奨励賞を受賞
*9 株式会社野村総合研究所 コンサルティング事業本部「障害者雇用及び特例子会社の経営に関する実態調査 調査結果」(2017年12月)では、精神障がい者の離職理由(複数回答)の1位が「体調悪化等により、継続的な出社が困難になったため」(70.2%)となっている。
*10 ナカポツは、障害者就業・生活支援センターのこと。「障害者に対する総合的支援の充実を目的として設立された組織都道府県知事が指定する公益法人(社団または財団)、社会福祉法人、特定非営利活動法人(NPO)などが運営しており、障害者の身近な地域で就業面と生活面の一体的な相談・支援を行う。就業と、就業に伴う日常生活上の支援が必要な障害者に対し、求職相談、職場定着相談、生活相談を行う。事業主に対しては、雇用管理にかかわる助言、職場の環境改善などの支援も行う」(パーソルチャレンジWEBサイト[障害者雇用に関する用語集]より)

▲パーソルチャレンジが実践する「精神障害者の多様性と生産性実現のためのトータルマネジメント手法」
パーソルグループニュース「精神障害者の雇用の取り組みから考える多様性と生産性を実現するトータルマネジメント手法」が「第7回 日本HRチャレンジ大賞」奨励賞を受賞 より
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 他社の事例を見ますと、一般的にはやはり精神障がい者のサポートは他の障がい者に比べて難しいというイメージを多く持っているようです。そして、福祉系の専門職(PSW*11 など社内外の専門家)に頼ることも多いようです。弊社の場合は数年の試行錯誤の中で経験を積み上げてきましたが、専門職に依存するのはリスクヘッジという観点からのケースもあるようです。

*11 PSW=精神保健福祉士(Psychiatric Social Worker)。精神科ソーシャルワーカーという名称で1950年代より精神科医療機関を中心に医療チームの一員として導入された専門職で、1997年に精神保健福祉領域のソーシャルワーカーの国家資格として誕生した。(参考:公益社団法人日本精神保健福祉士協会ホームページ)