2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すというSDGs(持続可能な開発目標)には、17のゴールがある。そのうちの一つに、持続可能な森林の経営や砂漠化への対処があるが、中国ではどうなっているのだろうか。黄砂の発生源「ムウス砂漠」で知られる陝西省・楡林(ゆりん)市と最近はやりの公益ゲームに注目した。(ジャーナリスト 姫田小夏)
中国の砂漠地帯で進む緑化、
アリババの公益ゲームも一役担う
陝西省北部に位置する楡林市は、北は内モンゴル自治区、東は山西省、西は寧夏回族自治区と接する市だ。この楡林市一帯に総面積約4万2200平方キロメートルのムウス砂漠が広がっている。中国の四大砂漠の一つで、北京や天津に降る黄砂の発生源ともいわれている。
胡子軒さん(仮名、25歳)は、この楡林市で生まれた。10年前の生活を振り返ってこう語る。
「子どもの頃、家のベランダから砂漠が見えました。春は砂嵐がほぼ毎日のように起こっていて、人々は目や髪の毛に砂が入らないように、ビニール袋を頭にかぶりながら歩いたものでした」
砂嵐で先が見えず、方向感覚を失って道に迷ったり、堆積する砂で家の扉が開かず、外に出られなくなったりするなど、市井の人々は進行する砂漠化に悩まされていた。