このコロナ禍では、成長を目指すだけではなく、ムダを省き、筋肉質な経営を目指さなければいけません。リモート経理を導入できれば、「コスト・働く時間」を劇的に少なくすることができます。経費精算のためにわざわざ出社していては、時間とお金をドブに捨てているようなもの。そもそも経理とは「経営管理」の略称。「営業」が会社の攻めを司る剣なら、「経理」は守りを固める盾です。右肩上がりの時代はどこの会社も営業重視でしたが、コロナ禍では経理がいっそう重要になりました。
本連載は、「リモート経理を導入するためのノウハウ」を紹介するものです。著者は「会計とITの融合」を得意とする税理士、井ノ上陽一氏。『リモート経理完全マニュアル 小さな会社にお金を残す87のノウハウ』を出版し、「いつでも・どこでも・誰でも」安心に経理業務ができるメソッドをあますところなく伝えています(イラスト:田渕正敏)
あなたの仕事は、なぜ終わらないのか?
私はExcelに「今日やること」を1つずつ入れ、時間を見積もっています。そして、実際にかかった時間と照らし合わせて、自分の見積もりをチェックするようにしています。
これは何かに似ていると思わないでしょうか。予算と実績の管理、つまり予実管理です。
通常の予実管理はお金を管理するものですが、これは時間を管理するものです。管理しないと時間は過ぎ去ってしまいます。
時間を記録しておけば社内で共有することもできますし、社内で仕事を依頼するときにも自分にどのぐらい余力があるかが明白です。
リモートワークでは、自分を律することが欠かせません。いくらでもサボることはできます。その自分を律するために時間を管理し、「ちゃんと成果を出しているか」を自らがチェックするしくみが必要です。
他人に言われて時間を管理するのは苦痛ですが、自分を律するため自分から時間を管理していきましょう。
たとえば、決算のために会計ソフトの預金残高をチェックする仕事を5分と見積もったものの、実際には15分かかったとします。
もし、このチェックを行っていなければ、また見積もり違いをしてしまうでしょう。この見積もり違いが積み重なると、いつまでたっても仕事が終わりません。
多くの場合、自分の仕事のスピードを過大評価しています。「がんばっているのに仕事が終わらない」原因は、この見積もり違いにあるのです。