有志の社員が中心の自律的組織で
ワークスタイル変革を推進中

 同社では新卒採用でも自律的な社員を採用していると紹介したが、実は経営コンサルタントが配属される部門の新入社員が、自らリーダーとなって興味・関心のあるテーマでメンバーを集め、研究や検証などを行う取り組みがあるという。中には、プロジェクトになるものもあり、実際に顧客へ提供されたサービスもある。

 その一つが、VR技術を活用して、新たな顧客体験を創出する「Virtual Showroom Solution」というもの。これは名古屋にある中古車販売店の販売業務に導入され、他店舗の在庫を実物大で投影することで、その場に行かずとも車両状態の確認ができるようになったそうだ。

 そのほか、この新入社員らの取り組みで、新たな社内制度も生まれている。それが、会社が提示したポストや職種の公募に対し、社員が応募することで異動を行う「社内公募制」だ。今、どんなポジションが社内にあるのか社員が分かるのと当時に、人員のニーズが高い部門からの要請も多く、実現に至った。今まさに初めての募集が始まったところで、今年4月に初めての配属が行われる予定だという。

 実はこうした社員による自律的な組織運営は、もちろん新入社員だけで行われているわけではない。全社的に自律的な社員によってワークスタイル変革を推進し、能力を最大限発揮する組織を目指すのが「Business Athlete」という取り組みだ。

ダイバーシティ&インクルージョンBusiness Athleteの「ダイバーシティ&インクルージョン」の一環で20年7月に行われたオンラインイベント「大変革期における多様性活用の重要性を考える」の様子 写真提供:アビームコンサルティング

 この制度の前身は2017年から始まっており、現在は人事部門と有志で集まった現場のコンサルタントの二百数十名が参画しているという。

「“有志”というと、その時だけ参加するという印象かもしれないが、決してそうではない。年初にはきちんと計画も予算も立てて運営されている、重要な全社の経営戦略の一つだ」(岩井執行役員)

 このBusiness Athleteは、大きく4つのテーマに分かれて運営されている。一つ目が「働き方改革」、二つ目が「ダイバーシティ&インクルージョン」、三つ目が「健康経営」、四つ目が「社会貢献」だ。メンバーは、自ら選んだそれぞれのテーマに参画して活動を行っているという。