また、緊急事態宣言が1月7日に発令されたとき、新型コロナの新規感染者数は全国7571人、東京都2447人だった。それが、3月5日には全国1149人、東京都301人まで減少している。当初、東京都については新規感染者500人を切れば解除とされていた。それを下回ったのに、宣言解除できないことも見過ごせない。

日本の新興感染症対策の構造的問題を、今こそ議論すべき

 1月の宣言発令は、感染者数の急増により医療逼迫や医療崩壊の危機に陥ったことが理由とされた(第264回)。これは、国民の行動自体に問題があったというわけではない。むしろ、日本人の「マスク」「手洗い」、「3密」を避ける規律ある行動は、世界から高く評価されてきた。それでも、宣言の発令に至ったのは、日本の医療体制、医療行政により本質的な問題があることを示している。

 菅政権は「感染症法」を改正し、都道府県知事らが、病院に対しコロナ患者の入院を受け入れるよう「勧告」できるようにした。それで、個別の病院にコロナ病床を増やすことを依頼しやすくはなった。東京では、都立広尾病院などをコロナ専用病院にして重症治療を集約した。

 これは、一歩前進ではあるが、それでもリバウンドが起きたら医療逼迫・医療崩壊につながる状態が、いまだに改善できていない。だから、宣言解除できないのだ。個別の病院への「勧告」で、少しずつ病床を増やすというやり方だけでは、限界が見える。

 ワクチン接種が始まり、今後感染拡大が本格的に収まっていけば、それでいいということになるのかもしれない。

 だが、ワクチン頼みで終わらせてはいけない。将来、感染力の高いウイルスのパンデミックに襲われたとき、今の体制では手も足も出ないだろう。日本の新興感染症対策の構造的問題を、今こそ議論して解決しておく必要がある。