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新型コロナウイルス感染症「第3波」が拡大しているが、医療崩壊が危惧されている状況だ。多くの大学病院がこれまで感染者の受け入れをしてこなかったが、私は、重症者対策を大学病院で集約化して行うと同時に、新型コロナの先端的な研究に日本も参戦できる体制を取ることを提案したい。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)

「Go To高齢者疎開」でもやるべき

「第3波」で、感染者の年齢層が上がり、重症者・死者数が増加している。高齢者は入院が長期間に及ぶ傾向が強いため、全国各地で医療崩壊が危惧されている。

 だが、菅義偉政権は「経済」と「防疫」の間で揺れ続け、有効な対策を打ち出せていない。批判が強い「Go Toトラベル」は、一時停止にした都市はあるものの、「緊急事態宣言」などは打ち出さず、感染防止は地方自治体任せの状況だ。

 筆者は、現役世代・若者の経済活動や学業は活発化させるべきという考えだ。新型コロナは、現役世代、若者にとっては、重症化率・死亡率が低い季節性インフルエンザ並みだと思っている。インフルエンザで経済活動や学業を自粛することなどありえないではないか。新型コロナは、現役世代・若者でも後遺症があるというが、後遺症は他の疾病でもある。新型コロナだけを過度に恐れて経済活動や学業を制限するのではなく、平常に戻すべきだ。

 一方、新型コロナは高齢者・基礎疾患を持つ人にとっては、重症化率・死亡率が高い「殺人ウイルス」だ。蔓延するウイルスから「隔離」する策を考えるべきである(隔離という表現がよくなければ、「疎開」と表現してもいい)(本連載第248回) 。

 だから、「Go Toトラベル」は、非常に筋の悪い政策だ(「Go Toトラベル」は20年12月28日〜21年1月11日まで一時停止すると、菅首相が表明している)。利用しているのが主に高齢者だからだ。新型コロナは「人の移動で拡大する感染症」であり、「高齢者殺人ウイルス」なのに、「高齢者を移動させる政策」を実行するというのは、ありえない。

 本来、経済活性化は、工場での地道なモノづくりとかを支援すべきだが、それが十分にできないのが問題だ。地方が衰退しきっており観光業しか残っていない。つまり、「Go Toを続けるしかない」というのが、日本経済の本質的に深刻な問題である(第247回) 。

 だが、この緊急な事態で、過去の無策を責めても仕方がない。この際、高齢者の「Go To」自粛を呼びかけるという、進むのか引くのかよくわからない中途半端なことをするよりも、むしろPCR検査で高齢者の陰性を確認した上で、感染者が少ない地域のホテルに長期滞在してもらい、政府が補助金を付ける「Go To高齢者疎開」でもやったらどうか。