台湾・TSMCが日本に子会社設立の真意、「日本に期待」の大誤解
台湾・TSMCの技術力が米中覇権争いの新たな火種となっています Photo:123RF

世界最先端技術を持ち、半導体業界をリードする台湾・TSMC。半導体の重要性がますます高まる中で、同社の技術力は米中覇権争いの新たな火種となっている。同社をめぐる動きをどう見るべきなのか、解説する。(グロスバーグ代表 大山 聡)

技術でインテルに先行するTSMC
米国インテル工場近くに新工場設立の思惑

 前回、台湾・TSMCの増産で車載半導体不足の解消を期待することへの違和感について解説した。半導体業界に携わってきた人間として、筆者がTSMCについて詳細に述べているのには、もう一つ理由がある。それは、同社の最先端技術が米中覇権争いの新たな火種になっていることだ。

 2020年7月23日に行われた米インテルの20年4~6月期決算発表において同社は、次世代の7nmプロセス開発に1年ほどの遅延が生じていることを認めた。現行の最先端である10nmも、立ち上がりが当初の予定より2年近く遅れるなど、同社は最先端プロセス開発にかなりの苦労を強いられている。

 一方ですでに述べたようにTSMCは、20年4~6月期時点で7nmプロセスが売り上げの36%を占め、同年10~12月期では5nmが20%、7nmが29%を占めるに至った。