
日本銀行は3月19日に現在の超金融緩和策に対する「点検」の結果を公表する。その内容を推測する上で大事な点を三つ挙げてみよう。
ポイント(1):実もふたもない話だが、黒田東彦・日銀総裁はこの点検にあまり熱意を持っていないと考えられる。点検を望んだのは、日銀生え抜きの雨宮正佳副総裁および彼に連なる執行部(企画局、金融市場局など)だろう。総裁にとってのプライオリティーは超緩和継続にある。それが揺るがない範囲なら、市場のゆがみに対処する微修正程度はやぶさかではない、といった姿勢だと思われる。
ポイント(2):最近「機動的」「メリハリ」「タイムリー」といった言葉が日銀幹部から幾度も発せられている。昨年3月にコロナ禍で起きた金融市場の激しいパニックに対して日銀は、株式上場投資信託(ETF)や国債の購入額を急きょ拡大した。パニックは終息しているので非常時措置は解除すべきだという示唆であると考えられる。
ポイント(3):点検結果は3月19日の発表だが、期末日の31日まで残り8営業日しかない。結果公表後に株価急落、長期金利急騰、円高進行となる事態を日銀は絶対に避けたいはずだ。市場を動かす可能性がある変更は、事前に市場に織り込ませる必要がある。