物価上昇の兆し物価上昇の兆しは「一時的」との姿勢を崩さない韓国銀行、その本音は…?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

韓国統計庁が発表した2月のCPI(消費者物価指数)は、前年同月比で1.1%上昇した。現時点の韓国経済のデータを考えると、韓国で緩やかながらもインフレが長引く可能性は排除できない。足元の株価の動向を見ても、韓国経済の先行きに関する不透明感は高まりつつある。(法政大学大学院教授 真壁昭夫)

韓国経済における
インフレは一時的か否か?

 米国を中心に世界的にインフレ(物価上昇)の懸念が高まり始めており、アジア諸国の中でもインフレに対する警戒感が少しずつ顕在化している。

 韓国経済の状況を見ると、食料品を中心に物価上昇が少しずつ鮮明化している。

 韓国の物価の推移はここへ来て、品目によって上昇ペースがやや急になっているが、ここで重要なポイントは、韓国経済における物価上昇が一時的か否かだ。

 韓国銀行(中央銀行)は表向き、インフレのリスクは懸念すべき水準ではなく、物価上昇の兆しは一時的なものとの見解を示している。しかし、現時点の韓国経済のデータを考えると、緩やかではあるが、韓国でインフレが長引く可能性は排除できない。

 その展開が現実のものになると、家計の消費は減少し、経済状況が悪化することが想定される。事実、足元の株価の動向を見ても、韓国経済の先行きに関する不透明感は高まりつつある。