自分にしかできないことを見つけ、強い使命感と共に、人と違う道に挑む。そんな若きイノベーターたちは、どう育ってきたのか。今回は、9歳から茶道の魅力にはまり、お茶の文化と産業の橋渡しをするべく、お茶の製造から販売、啓蒙までを一手に展開するTeaRoomの岩本涼さん。同じく幼少期から始めた空手と合わせ、「道」という概念が生き方の基礎にありました。(聞き手/ダイヤモンド編集部論説委員 深澤 献)

好きなことを続けるなら
そのお金は自分で払え

――ご両親はどんな方ですか。

岩本 涼TeaRoom代表茶道、空手と共に長く続けているバイオリンも定期的に演奏会に参加している Photo by Masato Kato 拡大画像表示

 父(岩本隆氏)は、今は慶應義塾大学で教えていますが、(コンサルティングファームの)ドリームインキュベータの創業メンバーの一人です。母は以前はコピーライティングなどクリエーティブな仕事をしていて、結婚して退職しました。その後はバルーンアートや空手の先生をしたり、スターバックスで働いたりしています。

 両親は、子供自身の意思決定を後押しする感じで、一切、指示はされませんでした。年子の姉も二つ下の妹も同じように育てられました。両親はどちらも教育系の家で育ったこともあって、自由に育てようと考えていたのでしょう。だから起業も事後報告です。恵まれて育ったと自覚しています。

――友達は多い方でしたか。

 いいえ、幼稚園の頃は友達がいませんでした。集団行動が怖くて、一人で砂場で泥だんごを作って、ストッキングでピカピカに磨いていましたね。

 小学校も最初は行ってませんでした。担任の先生が毎朝迎えに来て、家から引きずり出すようにして連れて行ってくれて、それで行けるようになりました。