時代や環境変化の荒波を乗り越え、永続する強い会社を築くためには、どうすればいいのか? 会社を良くするのも、ダメにするのも、それは経営トップのあり方にかかっている――。
前著『戦略参謀の仕事』で経営トップへの登竜門として参謀役になることを説いた事業再生請負人が、初めて経営トップに向けて書いた骨太の経営論『経営トップの仕事』がダイヤモンド社から発売されました。好評につき発売6日で大増刷が決定! 本連載では、同書の中から抜粋して、そのエッセンスをわかりやすくお届けします。好評連載のバックナンバーこちらからどうぞ。

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ルールを守らせるだけなら、
マネジャーはロボットに置き換えたほうがいい

 かつての日産が、工場のラインの更新のたびに新しい試みを競い合っていたのとは対照的に、トヨタでは、生産ラインはその直近のものに「カイゼン」を積み重ねて進化させるべきものという普遍的な考え方が浸透していました。

 もし、マネジャーの仕事が、ルールに沿って仕事をこなし、ルールを順守しているかどうかだけを管理し、ルールに沿って人事評価を行うだけならば、すべてのマネジャーをコンピューターに置き換えて無人化してしまったほうが理にかなっています。

 現状のルールの課題や問題点に一番先に気が付くのがマネジャーですから、そのマネジャーが、自身が責任を持っている部門へのカイゼンを重ねていく状態が、組織のPDCAが定着している企業の特徴です。

 業務手順の「カイゼン」の推進の仕方については、以前のニトリの事例のように、経営層がすべての課題対応の推進を行う、つまり業務システムについてもどうあるべきかをトップが自ら直接采配を振って事業の業務フローの最適化を推進する、米国企業によく見られるトップダウンマネジメントの進め方も一つのやり方です。

 忘れてはならないのは、その場合の前提となるのが、業務課題を明確にイメージできている優秀なトップが存在すること。そして、そのトップが自分の意志の下に手足のごとく動かせる優秀な本部組織があることです。

 もう一つのやり方が、前述のトヨタに見られる、その役割をマネジャーに担わせ、PDCAのAである「カイゼン」として、それぞれの担当範囲での業務フローの最適化を推進させる企業文化づくりです。前述の通り、優秀なワンマントップが采配を振るマネジメントを、代が替わっても継続することは現実には難しいことです。