自社の事業を進化させるのは、
マネジャーの役割だと思わせること

 目指すべきは、マネジャーを「決まり事を順守するだけ」の思考停止状態にしてしまうのではなく、自社の事業を進化させるのは、自分たちの役割であることを理解して「カイゼン」を積み重ねる状態であり、トップがマネジャーたちに、その「カイゼン」の精度の追求を迫ることでしょう。

「今のうちのマネジャーには、そんな能力はない。任せられない」

 こう、言われるワンマントップも多いと思います。

 しかし、もしそうだとすれば、そのマネジャーたちに考えさせず、育てなかったのは、マネジメント組織の根元に位置する歴代トップの皆さんなのです。

 あるいは、そのマネジャーの能力を開発する機会を抑え込んでいるのは、トップを取り巻く今のマネジメント体制が、「新しいことはしなくてよい。私のやってきたことを否定してもらっては困る。リスクなどおかすな」と組織に向かって醸し出している空気感、文化なのでしょう。

 謙虚で優秀なトップが永遠の命を有しているのであればいいのですが、そのようなことは現実にはありえません。

 これは、創業者であっても、2代目であっても、あるいは参謀役であっても、「マネジャーたちによる業務カイゼン推進」の意義に気が付いた方が、先陣をきって取り組むべき課題と言えるでしょう。

 現状の事業を廻すためには、手かせ足かせとなっている決まり事を前にして、
「でも、決まり事だからなあ」
 と口にして話を終わらせるトップがたまにいます。

 では、その決まり事を変更していく総責任者は、誰なのですかと聞きたいところです。

《Point》
 マネジャーは、自らのイニシアティブを発揮して判断し、そしてさらに業務の「カイゼン」を進め、例外事項にも対応できる事業運営者としての腕を磨く。