そのため、私の同級生は涙をのんで1回の接種で我慢しているというありさまだ。今後、ワクチン証明書がないと入れない場所にはどうやって入ればいいのだろうか。こうした不手際は日本ではあまり起こらないだろう。

学校に行きたくて
バスを燃やす

 2021年1月24日の夜、信じられない事件が起きた。「超正統派」と呼ばれるユダヤ教を熱心に信仰する一派が暴徒化し、市内を走る公共のバスに火をつけて全焼させてしまったのだ。

燃やされたバス 
燃やされたバス 写真:Haarez紙

 暴動の理由は、コロナ感染の温床とされている宗教学校を感染防止のために閉めたことが原因だとされている。感染者が増えている宗教関係者を狙い撃ちした施策だと、一部の人の間で政府に対する批判の声が高まっていた(ただし、宗教学校のみならず公立・私立の学校も全て閉まっているし、その他の公共交施設もすべて閉鎖されているので、決して宗教学校だけをターゲットにしているわけではない)。

 もっとも、学校の閉鎖以外にも厳しい外出制限や集会の禁止など、それまでにユダヤ教の信仰を妨げるような施策が打たれ、それに対する反発心が徐々に高まっていたことが背景にあるのだが、焼き討ち事件を起こした直接の理由が「学校に通わせてほしいから」というのが、なんというか真面目なのか不真面目なのかよくわからなくなる。

「ワクチンを打つとゲイになる」
一部の宗教指導者による仰天の呼びかけ

 宗教関係者については、別の仰天エピソードもある。あるラビ(ユダヤ教高僧)が「ワクチンを接種するとゲイになる」として、ワクチンを接種しないように信者に呼びかけているという報道があった。

 背景を少し説明すると、ユダヤ教の多くの宗派では、同性愛は禁止されている。このような呼びかけをされた信者はワクチンに恐れを抱く。コロナに感染して命の危険にさらされるか、自分の信仰を守るかの「究極の選択」で、仕方なく後者を取る人が少なからずいるようだ

 本来は、人を正しく導くのがラビであるが、一部には常人では理解できない論法で人を煽りまくるラビもいるのだ。情報化社会で「科学的な根拠」から、古くからのユダヤ教の教えに疑問を持つ人々もいる。人々から「宗教的な求心力」を高めようと必死なラビもいるのが実態だ(この辺りの事情にご関心のある方々は、Netflixで『シュティッセル家の人々』というドラマをご覧いただくのをオススメする)。

コロナワクチンを打つ看護師の後ろに、「聖書」、「教訓集」、「寄付」というユダヤ教の教えを抱えたラビたちが控える
コロナワクチンを打つ看護師の後ろに、「聖書」「教訓集」「寄付」というユダヤ教の教えを抱えたラビたちが控える 写真:Еврейский Журнал紙
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 繰り返すが、このような極端なことを言うラビは、ほんのごく一部である。本当に「ゲイになる」と信じている人も、ごくわずかにすぎない。とはいえ、国内に100万人以上いると言われる宗教に厳格な人々の中でも、宗教的な観点でワクチン接種に対して否定的な声や見解を示す人も多い。