総予測2026Photo:PIXTA

ビール業界は人口減少やアルコール離れによる国内市場の縮小に直面している。そんな中、2026年は酒税の統一によって、大手ビールメーカーの序列に変動がありそうだ。狭義のビールと発泡酒、第三のビールの酒税が同率になることで、何が起こるのか。特集『総予測2026』の本稿では、ビールメーカー3社と小売りの間で交錯する思惑を紐解いていく。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)

ついに酒税一本化へ
26年に序列が変動する?

 ビール業界は2026年、勝負の時を迎える。10月に酒税がついに一本化されるのだ。

 バブル経済の崩壊後、顧客獲得競争の中で生まれたのが、ビールより税率が低く、安く販売できる発泡酒ジャンルだった。1994年にサントリーが「ホップス」を販売開始した。すると、各社が発泡酒市場に参入。98年にキリンが発売した「麒麟淡麗〈生〉」がヒットし、市場に定着した。

 続くデフレにより、価格競争はますます激化。発泡酒よりさらに税率の低い、第三のビールとも呼ばれる新ジャンルビールが登場する。04年にサッポロが「ドラフトワン」を全国発売すると、翌年にキリンは「のどごし〈生〉」を投入。アサヒは拡大する新ジャンル市場を押さえるべく、08年に「クリアアサヒ」を発売した。

 酒税の一本化に向けて動き出したのは18年のことだ。当時はビールと新ジャンルで、350ml当たり約50円の差があった。その差を段階的に調整し、ビールの酒税は引き下げ、新ジャンルのそれは引き上げに動いてきた。26年10月の改正によって、ビール、発泡酒、新ジャンルの税率は350ml当たり約54円に統一される。

では、各社は26年にどう動くのか。次ページでは、序列変動の決め手となる商品をめぐって、ビール大手3社の間で方針が異なる裏事情を、販売数量データから紐解く。