突然の顔面神経麻痺と
原因不明の痛みで病院を転々
(あー、やっちゃった)
3年前のある日、シンペイさん(仮名・当時58歳)は食事中に思わず顔をしかめた。左頬の内側をがぶりと、かんでしまったのだ。たちまち口中に血の味が広がる。動揺したが、まだ食事を始めたばかり。頬を噛んでしまったショックや痛みよりも食欲のほうが勝っていたため、構わず食事を進めた。
だが、おかしい。うまく咀嚼(そしゃく)できないのだ。そればかりか左側の唇の端から唾液がだらしなく垂れてきて、直後から顔面がズキズキと痛みだした。
(うわぁ、一体どうなってしまったんだろう)
非常事態を自覚したシンペイさんは即座に箸を置き、かかりつけの内科医へと走った。
「顔面神経麻痺(まひ)ですね。申し訳ありませんが、うちではよくわからないので、専門医をご紹介しますので、そちらへ行ってください」