「トビタテ!留学JAPAN」とは

星:船橋さんがプロジェクト・ディレクターを務める「トビタテ!留学JAPAN」についてお聞きしたいのですが。

船橋:文部科学省初の官民協働プロジェクトでして、2つの側面があります。

一つは、日本から留学するのが当たり前という文化・気運をつくるキャンペーンとしての位置づけです。

2013年当時の海外留学する大学生6万人、高校生3万人という数字を、それぞれ倍の12万人、6万人にもっていくのが目標です。

もう一つは、民間企業から寄付を募って1万人の日本代表生に留学奨学金を提供して留学を支援し、奨学生のコミュニティをつくることです。

その狙いは、留学の形のバリエーションを増やすことと、グローバル人材としてのロールモデルをつくることですね。240社超の企業から120億円強の寄付が集まり、1万人を留学させる目途が立ちました。コロナの影響で遅れてしまいましたが、これまでに8300人を採択し、110数ヵ国以上に送ってきました。

星:奨学金プロジェクトの特徴は?

船橋:3つあります。まず、給付型奨学金なので返済の必要がないこと。次に、選考において成績や英語力は問わないこと。選考基準は情熱、好奇心、独自性であり、民間企業の採用担当者が選考します。

さらに、留学の行き先、期間、学ぶ内容はすべて自分でプランを作成しなければならないこと。その際、特に大学生については座学だけのプランは不可で、実践のみあるいは必ず実践をブレンドしなければなりません。

星:学生に与えられる課題のようなものはありますか。

船橋:グローバル・リーダーを目指す、留学中はアンバサダーを務める、帰国したら留学の価値等を伝えるエバンジェリストになる、という3つのミッションがあります。

星:面白いですね。日本代表生8300人というのはすごい数字です。3つのミッションの部分について、具体的な成果はいかがですか。

船橋:8300人のうち社会人になったのが3000人くらいなんですが、そのうち約100人が起業しました。またダボス会議のグローバル・シェイパーズに選ばれた人も10人ほどいます。私がうれしいのは、留学促進プロジェクト・人材育成プロジェクトを超えて、社会課題解決プロジェクトだよねと評価してもらえることです。彼らのやっていることはみんなSDGsや社会課題に関わっていますからね。