すっかり外堀が埋まり、普通ならば「万事休す」と反省の姿勢を示し情状酌量で執行猶予を狙うのが妥当にも思えるが、秋元被告は取り調べに対し黙秘を続け、公判でも無罪を訴えて全面的に争うとみられている。

 弁護人としてロス疑惑、障害者郵便制度事件など著名な事件で無罪を勝ち取り、障害者郵便制度事件では大阪地検特捜部の証拠改ざんを見抜いた弘中惇一郎氏が受任した。証拠の緻密な検証で「無罪請負人」「カミソリ」の異名を取り、人気ドラマ「リーガル・ハイ」のモデルとも噂される辣腕(らつわん)弁護士だ。

隠し玉の有無、公判の攻防に注目

 では、どうやって無罪を立証していく方針なのだろうか。

 前述のデスクは「いくら弘中さんでも、確定した判決の事実認定をひっくり返すのは厳しいと思います」と話す。その上で「証拠の収集や取り調べに違法性がなかったかなど、手続きの瑕疵(かし)を突くのがやっとではないでしょうか」と推測した。

 実際に昨年9月10日、弘中氏は記者会見で、長時間の取り調べが連日にわたり続いていると批判。検察官が「話さないなら後援会の全員を呼んで話を聞く」と供述を強要している――などとして黙秘権の侵害を指摘した。

 さらには「黙秘や体調不良も無視して自白を強いており、刑事訴訟法にも反する」として東京地検に申し入れ書を、さらには検察官が捜査情報を報道機関に漏らしているとして、国家公務員法違反容疑で警視庁に告発状を提出したことも明らかにした。

 一般的に、一連の事件で採用された証拠などが公判で事実認定され、先に判決が確定した場合、その後に開かれた公判ですべての事実認定や確定判決を覆すのは至難の業と言われる。それは、先に出した同僚裁判官の判決を間違いだったと批判するのも同然だからだ。これは当該裁判所にとって「不祥事」に等しい。

 弘中氏は記者会見以降、事件について公の場で発言していない。

 捜査の過程における重大な瑕疵をつかんでいるのか。軌道修正して執行猶予狙いに方針を転換するのか。それとも何か驚くような隠し玉を準備しているのか――。

 法廷の攻防から目が離せない。