事実の「見える化」と言語化を行い、
組織で共有できる状態にすることが必須

 そして結局、Cの総括資料の作成時に、影響力の強い人の神経を逆なでしないように忖度した総括を描くことが大命題になってしまうものです。

 実はこれらの手順は、「成功した創業者」が常に頭の中で行っていたことを、組織で行う時に置き換えたものです。組織が大きくなってくると、これをトップの頭の中だけではなく、事実の「見える化」と言語化を行い、組織で共有できる状態にすることが必須になります。

 ワンマントップは、自身の頭で様々なプランを考えて実施させますが、当然その中には、読みが外れるケースも出てきます。

 その時に「社長の思い付きは、間違っていました」と指摘されれば、トップも頭に血が上るのは当たり前で、「お前らがプランを出さないから、俺が考えなければならないのではないか! 10の打ち手のうちの二つや三つ、いやそれ以上、外れたからって、ガタガタ言うな…」がトップの本音です。

 ゆえに仮にトップの発案であっても、実施D前のプランニングPの段階で、先ほどの「現状把握」から「実行計画」までをプランニングの作法に則って、スタッフか誰かに書面化させることが必要です。それによって実施後の、適切な振り返りができる状態を作っておく必要があります。

 今でも多くの会社で、うまくいかない時に「誰のせいだ」とその責任者に責任をかぶせて、本来、行うべき検証を止めてしまう「どんぶり」総括の横行を見ることがあります。

 中には、その責任者のことを「気に食わない」「つぶしたい」という思惑を持つものが本部や力を持った幹部にいる場合に、「待ってました」とばかりに動くこともあります。

 これまでにも、難易度の高い仕事を押し付けておいて、うまくいかなくなると、総括の話をすっ飛ばして、「責任を取らせる」と、責任者を降格させる話に短絡的に追い込んでいく場面を、いやというほど見てきました。

 このような事態を避け、組織としての正しい学習がなされるようにするためにも、PDCAのPは作法に則って、その策定のプロセスを書面化し、トップが承認するようにしておくべきです。