ティム・クックCEO(最高経営責任者)を筆頭に、米アップルの経営幹部が自動車参入をはっきりと表明したことはまだない。実のところ、彼らは何を考えているのか?特集『アップル 車の破壊者』(全5回)の最終回では、アップルの自動車開発プロジェクトに関わっていた台湾人研究者が、アップルの意図を代弁する。(台湾「財訊」 林 宗輝、翻訳・再編集=ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)
アップルはなぜ自動車を造るのか?
開発元メンバーが語る納得理由
米アップルがEV(電気自動車)を手掛けるというニュースは、関連業界で大きな驚きを持って受け止められている。「アップルは世の人々の既成概念を壊し、市場をひっくり返すだろう」。そう語るのは、かつてアップルの自動運転開発に参加していた、台湾の国立陽明交通大学電機工程学系の王傑智教授だ。
王氏は米カーネギーメロン大学でロボット工学博士を取得した研究者で、ロボット工学や機械学習などを専門としている。アップルでは2015~16年に、スペシャルプロジェクトグループに参加していた。
この王氏は、「アップルが自動車を造るのは未来を見通した布石であり、自社が持つ技術を結実させる取り組みでもある」と断言する。