集中力が落ちた。
あの頃は、もっと没頭できたのに──

私たちは今、スマホやPCに1日平均11時間を費やしていたり、リモートワークによる働き方の変化に追われていたりします。
人のパフォーマンスを可視化するメガネ型デバイス JINS MEME」「世界で一番集中できる空間 Think Lab」などを手掛けてきた井上一鷹氏の著書『深い集中を取り戻せ』では、集中のプロとして、「これからどのように働けばいいのか」「どうやってパフォーマンスをあげるのか」を語ります。
脳科学的に、「やらされ仕事は4ヶ月しか続かないけれど、やりたいことは4年続く」と言われます。あなたが、夢中で何かに没頭できた体験。やらされ仕事ではなく、自らやってみようと思えたこと。何が原因かわからないけど、いつの間にか、『深い集中』が失われたすべての人へ、ノウハウをお伝えします。
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「3つの脳」の切り替え

集中を考えたとき、仕事をスタートさせる方法はとても大切ですが、そればかりが重要視されていて、「終了のタイミング」がおざなりにされがちです。

リモートワークの難点は、常に「なかなか仕事から離れられない感覚に陥る」という点です。ですから、集中を終わらせるタイミングにうまく仕事を「切り離す方法」についても考える必要があります。

よく、「脳をオン・オフにする」という表現が使われます。

「仕事のときはオンにして、プライベートのときはオフにする」というようなことが言われます。

しかし、厳密には、脳のスイッチが本当にオン・オフになっているわけではありません。

その誤解をここで解いていきましょう。

Photo: Adobe Stock

ぼーっとしているときの脳の状態

たとえば、睡眠時間は、脳がオフの状態になっているイメージがあります。

しかし、睡眠中も我々の脳は活動しています。

特に「レム睡眠」と呼ばれる、眼球運動を伴う浅い眠りのときには、記憶の定着をしています。もうひとつの「ノンレム睡眠」でも、後述する「デフォルトモード・ネットワーク」が活性化しており、アイデアが出やすくなっているとも言われています。

つまり、眠っている間も、脳はオンの状態なのです。

脳神経科学に精通している青砥瑞人さんは、次のように表現しています。

゛脳には大きく分けて、3つのモードがあります。「デフォルトモード・ネットワーク」「サリエンス・ネットワーク」「セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク」です。システムとして脳を捉え始めたのが近年の面白いトピックです。

ここ10年で特に注目を浴びたのが、「デフォルトモード・ネットワーク」の存在です。特定の対象に意識を払わない、ぼーっとした状態、および、そのような状態を司る脳の回路を指します。

「意識していないけれど脳は機能している」という、いわゆる無意識下の状態における機能を説明する神経活動として、注目を浴びました。”

このような話です。これを私なりに解釈すると、右のような3つの状態になります。

図「3つの脳の切り替え」 拡大画像表示

これを受けて、予防医学研究者の石川善樹さんは、「直感の脳が100のアイデアを出し、大局観の脳が3つに絞り、理性の脳が1つを選ぶ」という表現をされていました。

つまり、3つの脳を切り替えるように1日を過ごすのが大事ということでしょう。

しかし、リモートワークが続く自粛生活ではどうでしょうか。

いつも同じ部屋にいることで刺激が一定になり、同僚との雑談もなく予定通りの会議をこなすばかり。そんな日々を過ごすはずです。

このような状態では、「理性の脳」しか使っていないことになります。

そこから抜け出すには、脳に刺激を与えて「大局観の脳」から「直感の脳」へと切り替えることが必要です

「直感の脳」に切り替える方法

家の中でも、できるだけ「刺激」を多様にすることができないか。あるいは、アイデアを出すために「ゆとり」や「ゆらぎ」の時間を作る。

そのような過ごし方が重要になってきます。

二元論のオン・オフではなく、リラックスしたり新しいものに触れたりするような、「攻めのオフ」を取り入れるようにしましょう。「攻めのオフ」は、自分の中に異なる脳を召喚する大事な儀式だと気づく必要があるのです。

この「攻めのオフ」のためには、「作業とは異なる刺激」が必要不可欠です。

音楽を聴いたり、YouTubeなどを見たりして休む人が多いでしょうが、目と耳を使って仕事をしていることが多い現代人にとっては、それらは仕事中の刺激と種類が近くなります。

視覚・聴覚以外の五感を刺激すること(風にあたる、風呂に入る、アロマを嗅ぐなど)」や「静から離れ、動の状態を作ること(歩行、筋トレ、反復運動など)」を取り入れましょう。

また、これらの刺激にも「慣れ」が生じてしまうので、複数のものを楽しんで使い分けることが重要です。そうすることで、リモートワークはオフィスでの仕事よりも断然クリエイティブになる可能性が高まるでしょう。