中国国内でも植物肉の製造が盛んに…

 現在の代替肉には、主に植物肉(動物性タンパク質の代わりに植物性タンパク質を使って、本物の肉の味に近づけている)と、細胞肉(細胞培養で作られた本物の肉)が含まれている。細胞肉はコストが高く、繁殖速度も遅いが、植物肉は植物の中のタンパクを抽出して合成して作ることができる。そのため、現在、ビヨンド・ミートやその競合である米インポッシブル・フーズ(Impossible Foods)はもちろん、中国国内の代替肉企業の多くも植物肉製造に集中している。

 2020年に入ってから、中国語で人造肉と呼ばれる代替肉は中国国内で新たなブームが生まれ、ネスレ、スターバックス、ケンタッキー、ピザハットなど多くの食品関連企業が中国国内で関連製品の販売を始めた。さらに、多くの中国系上場企業も代替肉分野への参入を次々と発表している。ただ、これらの企業の多くはまだ資本運用を意識した企画に力を入れており、実製品の開発はまだ発展途上といえる部分もある。

 しかし、そんな中でも双塔食品という企業は、異彩を放っている。エンドウ豆から作られるタンパク質を利用して製品を開発しているのだ。

 同社は、業界最大規模のエンドウ豆タンパク生産企業として知られ、生産能力は世界シェアの約30%~40%を占めるといわれる。エンドウ豆タンパクの抽出レベルも業界トップで、食用タンパクの粗利率は60%近くに達している。原料サプライヤーである双塔食品は、中国の代替肉メーカーである珍肉とビヨンド・ミートの直接サプライヤーである上に、ケンタッキーが開発した新製品、植物鶏肉の間接サプライヤーでもある。

 昨年の旧正月の連休前には、同社が従業員を動員して、10万トンのエンドウ豆高度加工プロジェクト関連の設備調整作業を完了したという。コロナ禍にありながら、同社のエンドウ豆でんぷんなど製品の供給拡大ができた。

 同社の第1四半期決算によると、売上高は同比18.3%増の4億2700万元(約71億円)、純利益は同比89.98%増の7061万5200元(約11億7900万円)で、株価も大きく上昇した。同社はエンドウ豆タンパク製品のラインアップをさらに拡大し、将来的に缶入りタンパク粉(プロテイン)、植物タンパク肉などの分野でも国内外企業との提携を強化しようと考えている。

 双塔食品からエンドウ豆タンパクの供給を受けている珍肉食品科技は、2019年に設立された中国初の代替肉ベンチャー企業だ。同社も、中国版の「Beyond Meat」になろうと意気込んでいる。現在、植物肉月餅、ステーキやミートソースなどの製品を発売しているが、ヒットを飛ばした製品はまだない。