カテゴリー(1)
関係機関の調査結果

 まず一つ目のカテゴリーとして、保健所や生活困窮者自立相談支援機関、社会福祉協議会などの「関係機関」319件の調査結果を見てみよう。

「ひきこもりに係る相談があった」と答えた195件のうち、161件の回答結果によると、相談・支援の対象になっている当事者の人数は4284人。年齢は、20代が1246人(29.1%)、30代が1014人(23.7%)と多い一方で、40代は658人(15.4%)、50代は392人(9.2%)と、高齢になるにつれて少なくなっている。

 また、調査では「ひきこもりに係る相談があった」と回答した機関に、相談・支援の対象となっている当事者がひきこもり状態になったきっかけについて三つまで選んでもらっている(回答数458件)。最も多かったのは「学校・大学等におけるいじめ等の人間関係」で、相談のあった回答者の53%を占める103件だった。ひきこもり状態にある背景として、その半数以上は大人になってからも学校時代のトラウマ体験にずっと苦しめられている実態が示された格好だ。

 さらに、ひきこもりに係る支援について、行政や支援機関が今後取り組む必要があると思われることについても、優先順位の高い順に三つ選んでもらっている。優先順位1位に挙げられた数を見ると、その結果は「身近な地域における相談体制の充実」が圧倒的に多く、132件。「地域における連携ネットワークづくり」(48件)、「居場所の運営」(19件)が後に続いた。

「関係機関」カテゴリーの調査結果の中でも注目されるのは、「引き出し屋」として社会問題にもなっている「民間事業者の利用にあたってのトラブルに関する相談」だ。「相談を受けたことがある」という回答数は4.4%に当たる14件に上り、相談の具体的内容も、「高額な利用料」(4件)、「強引なやり方」(2件)、「引き出し屋」(2件)、「退寮させたい」「監禁のようなひどい仕打ちを受け、何とか逃げ出してきた」「本人の意思を尊重しない労働を強いられた」などの被害が報告されていることが分かった。

 都内の関係機関だけでも14件把握されているという事実は、「ひきこもり支援」をうたう民間業者のトラブルが水面下では全国的に数多く起きていることをうかがわせる。今後、行政に「ひきこもり支援」をうたう支援被害の相談窓口を明確化させるとともに、施設から脱走するなどした被害者の緊急保護システム、さらなる被害の実態把握、被害者の意志や権利を守るための法的規制の議論なども必要だ。