公務員の危機#4Photo by Yoshihisa Wada

霞が関の中央省庁からの人材流出が問題になっている。公務員の働き方改革のキーパーソンである村上誠一郎総務相は、人材獲得のための方策として、パワハラ防止の重要性を指摘した。日本が針路を誤らないために、どんな人材活用が必要なのか。特集『公務員の危機』の#4では、村上総務相に、人材活用の秘訣や、長谷川岳参院議員が総務副大臣時代に行った官僚へのパワハラ、齋藤元彦兵庫県知事が公益通報者に圧力をかけた問題について聞いた。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)

長谷川岳元総務副大臣や
兵庫県知事によるパワハラの本質とは

――政治家や知事からのパワハラが多発しています。

 政治家がなぜパワハラをしてしまうのか、私にはよく分からないのです。私の事務所の秘書たちは、みんな長く勤めてくれています。(秘書が度々)代わる先生も多いんだけど、うちは秘書が選挙に出るといった事情でもない限り辞めない。親分が甘いから居心地がいいのかもしれませんが(笑)。この商売は継続こそ力なりです。秘書がころころ変わっていたら支援者の名前も覚えられません。

――国家公務員も県庁職員も、パワハラをする政治家に仕えるのは大変です。総務省は地方公務員のパワハラを調査したそうですね。

 総務省として、きちんと調査しようということで、初めて「地方公共団体における各種ハラスメントに関する職員アンケート」を実施しました。実態を解明するとともに、ハラスメント対策を検討しています。

――同アンケートによれば、有効回答数のうち、過去3年間にパワハラを受けた公務員は15.7%に上りました。調査結果をどう評価していますか。

 ハラスメント対策は、職員への周知とハラスメントが起こりにくい職場環境の整備が必要です。いずれにしても総務省としてハラスメント対策に本腰を入れ始めたということです。

 フジテレビでも(女性アナウンサーによる芸能人などへの接待などの)問題が起きました。テレビでは、視聴率を稼げる一部の芸能人や芸能事務所に出演してもらうことが重要だということになって、それが原因となってハラスメントが起きています。

 メディア、役所に限らず、どの分野、どの地域でもハラスメントが起こっているので、日本全体の問題として取り組む必要があると考えています。

――長谷川岳参院議員が総務副大臣時代に行った総務官僚に対するパワハラが昨年、明らかになりました。ダイヤモンド編集部も含め多くのメディアが報じましたが、総務省はハラスメントの通報窓口に届け出がなかったことを理由に積極的に解明しませんでした。前の大臣のときの話ですが。